利益連動給与|税務通信 READER'S CLUB

No.3404
(平成28年4月11日号)8頁

28年度改正 利益連動給与の算定指標の範囲が拡充

Q1

利益連動給与とはどのような給与ですか。実際に導入している企業では、具体的にどのような算定方法を定めているのでしょうか。


A1

 利益連動給与とは、損金に算入される役員給与の一つです。損金に算入される給与は、このほかに、定期同額給与と事前確定届出給与があります。

1.利益連動給与とは
 利益連動給与とは、同族会社以外の会社が役員に支給する利益連動型給与で、次の要件を満たすものをいいます。下記(1)にあるように、有価証券報告書に記載される指標を基礎とすることが要件とされているため、規模の大きな会社が利用できる制度といえます。

<利益連動給与の要件>
      (1) 算定方法が、その事業年度の利益に関する指標(
有価証券報告書に記載されるものに限る。
      )を基礎とした客観的なものであること。
    確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
    会計期間開始の日から3月を経過する日までに、報酬委員会が決定していること。その他これに準ずる適正な手続を経ていること。
    算定方法の内容が、②の決定又は手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていること。
          (2) 利益に関する指標の数値が確定した後1月以内に支払われ、または支払われる見込みであること。

        (3) 損金経理(費用計上)をしていること



      2.具体例
       利益連動給与を導入している企業の有価証券報告書(一部抜粋)は次のとおりです。個人名や株主総会開催日など一部の事項については加工しています。

      【参考例1】
       当社は、平成X年5月18日開催の取締役会において、株主総会で承認いただいた取締役の報酬限度額の範囲内で取締役の報酬の一部を、利益連動報酬(法人税法第34条第1項第3号に定める利益連動給与)とすることを決議いたしました。
       具体的には、翌事業年度(平成X年3月期)以降に支給する利益連動報酬について下記の算定方法を適用いたします。この算定方法につきましては、監査役全員が適正と認めた旨を記載した書面を受領しております。なお、支給対象となる役員は、法人税法第34条第1項第3号に定める業務執行役員である取締役で、社外取締役、監査役は含んでおりません。また、支給時期は、株主総会の日以後1ヶ月以内に支給することといたします。

      <算定方法>
      (1) 利益連動報酬の総額は、利益連動報酬控除前の連結営業利益の5%とする。(円未満切捨て)
      (2) 配当金を無配とする場合には、利益連動報酬は支給しない。
      (3) 利益連動報酬の総額の上限は30百万円とする。
      (4) 各取締役への支給額は、次の算定方式によって計算する。(円未満切捨て)
        各取締役への支給額=利益連動報酬の総額÷配分ポイント合計×1人当たり配分ポイント

      rc03_zu100.gif

      【参考例2】
       <執行役に対する業績連動型不確定金額報酬の算定方法>
       当社は平成X年4月13日開催の報酬委員会において次期(平成X年1月期)の役員報酬の算定方法について審議し、平成X年4月に規程した業績連動型不確定金額報酬の算定方法を改訂することといたしました。なお、執行役に対する業績連動型不確定金額報酬の算定方法は以下の(1)~(5)のとおりであり、法人税法第34条第1項第3号に定める利益連動給与に該当する役員報酬を支給することを定めております。

      (1) 1株当たり当期純利益が50円を超えた場合を支給対象とします。
      (2) 当期純利益から<50円×(発行済株式数-期末自己株式数)>を差し引いた残額を業績連動型不確定金額報酬の原資とします。
      (3) 業績連動型不確定金額報酬の総額は「0円」から上限金額(1,958万円)の間で査定されます。
      (4) (3)に記載する上限金額の場合の個人別の業績連動型不確定金額報酬は、次の表のとおりとします。

      rc03_zu101.gif

      (5) (3)の査定結果の総額が1,958万円に満たない場合は、査定総額に個人別の支給割合((4)参照)を乗じた金額(1万円未満四捨五入)を個人別の支給額とします。


       利益連動給与の算定方法は、企業により様々のようです。このほかにもEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)の書類検索を利用して様々な事例を検索することができます。導入を検討している企業にとって参考になります。



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