2016/04/18 9:00
平成28年度税制改正では、事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合(特定仕入れ)の内外判定基準が見直されました。電気通信利用役務の提供に関する規定は、平成27年度税制改正で創設されたばかりですが、わずか1年で改正された経緯を教えてください。
平成27年度税制改正により創設された基準による判定では、経済実態との間に乖離があったため改正されたと考えられます。
1.改正前の内外判定
事業者向け電気通信利用役務の提供が国内において行われたかどうかは、平成28年度改正前は、役務の提供を受ける者の本店又は主たる事務所の所在地で判定していました。しかし、支店等で受けた役務の提供についてこの基準で判定すると、次のような問題が生じました。
(1)国内事業者の国外支店が事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合
【具体例1】日本法人のアメリカ支店が、アメリカの会社からインターネット上で広告の配信サービスを受けた場合 |
(2)国外事業者の国内支店(恒久的施設)が事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合
【具体例2】アメリカ法人の日本支店が、アメリカの会社からインターネット上で広告の配信サービスを受けた場合 |
2.改正後の内外判定
平成28年度税制改正により、事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合の内外判定は次のようになりました。
(1)国内事業者の国外支店が役務の提供を受けた場合(上記【具体例1】のケース)
国外支店等の国外事業所が受ける事業者向け電気通信利用役務の提供のうち、国外で行う資産の譲渡等にのみ要するものは、国外で行われたものとします。【具体例1】では、アメリカ支店が受ける広告の配信(事業者向け電気通信利用役務の提供)が、国外で行う資産の譲渡等にのみ要するものである場合には、「国外取引」と判定されます。
(2)国外事業者の国内支店が役務の提供を受けた場合(上記【具体例2】のケース)
国外事業者の恒久的施設(日本国内の支店等)が受ける事業者向け電気通信利用役務の提供のうち、国内で行う資産の譲渡等にのみ要するものは、国内で行われたものとします。【具体例2】では、日本支店が受ける広告の配信(事業者向け電気通信利用役務の提供)が、国内で行う資産の譲渡等にのみ要するものである場合には、「国内取引」と判定されます。
本誌関連ページ
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No.3405 (平成28年4月18日号)8頁