2014/05/01 16:39
今月のキーワード ―2014年5月―
公認会計士 太田達也
■先端設備の適用要件
平成26年度税制改正により創設された「生産性向上設備投資促進税制」(措法42条の12の5)は、①先端設備または②生産ラインやオペレーションの改善に資する設備、以上の2つのいずれかに該当する設備等について適用が認められます。本稿では、このうちの「①先端設備」について解説します。
先端設備は、「機械装置」、一定の「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」「ソフトウェア」のうち、下記の要件をすべて満たすもの(サーバーおよびソフトウェアについては中小企業者等が取得するものに限る)です。なお、機械装置については用途・細目の制限は一切ありませんが、それ以外の設備(「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」「ソフトウェア」)について用途・細目の制限が付されている点に留意が必要です。
このうちの最低取得価額要件は、形式的な要件ですので簡単に判定できるものと思われます。本稿では、最新モデル要件と生産性向上要件の2つについて、具体例を交えながら解説します。
■最新モデル要件
最新モデルであることが必要ですが、最新モデルとは、各メーカーの中で、次のいずれかのモデルをいいます。「各メーカーの中で」ですから、他のメーカーのモデルを考慮する必要はありません。
以下、具体例で判定してみます。
例1
前提条件
2014年に設備を取得したものとします。
■生産性向上要件
旧モデル(最新モデルの一世代前のモデル)と比較して、「生産性」が年平均1パーセント以上向上していることが必要です。この「生産性」の指標については、「単位時間当たりの生産量」「精度」「エネルギー効率」等、メーカーの提案に基づき、各工業会が設備の性能を評価するために妥当であるとする指標により判断します。
なお、比較対象となる設備は、あくまで同メーカー内での新モデル・旧モデルであり、他メーカーのモデルや、ユーザー(設備の導入者)がそれまでに使用していたモデルとの比較は行いません。また、特注品であっても、ベースとなる汎用モデルや中核的構成品がある場合は、そのベースとなる汎用モデルや中核的構成品の旧モデルが比較対象となります。
■メーカーの役割が重要
最新モデル要件および生産性向上要件のいずれの内容をみても、基本的に同一メーカー内での判定ですので、メーカーの役割が重要になります。メーカーが要件を満たしているかどうかをまず確認して、要件を満たしていると判断されるものについて工業会の証明書を入手するという流れになります。したがって、ユーザーにはあまり実務負担が発生しないと思われます。