同一労働同一賃金に向けた心構え

img_onepoint_0078_01.png10連休も終わり、令和の時代が始まりました。行政に提出する書式は和暦が基本ですので、当分は旧様式に令和と記載して訂正使用しつつ、徐々に新様式に移行することになると思われます。書類作成前に対応変方法等確認しておきましょう。さて、今回は新元号の時代に大きな影響が予想される「同一労働同一賃金」についてのキホンと今後の方向性について触れてみたいと思います。

位置付けと目的
同一労働同一賃金は、2019年4月から本格的に始動した働き方改革第一弾「労働時間法制、労働者の健康確保」に続いての第二弾に位置しています。今回の同一労働同一賃金は、非正規という言葉を一掃し、いわゆる正規社員と非正規社員との間の「不合理な待遇の差」をなくし、加えて多様で柔軟な働き方を選択できることを目的としています。この背景には労働者の4割近くを占める非正規社員に対し我が国では、単に「非正規だから」という雇用身分の扱いによって厳然とした待遇差別が存在している現実があると考えられているからです。
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均等待遇と均衡待遇
不合理な差が禁止されることを理解するためには、まず均等待遇と均衡待遇という言葉と条件の差を理解しておく必要があります。均等待遇とは文字通り「差別は禁止」となり正規社員と同じ扱いにしなければなりません。これに対して均衡待遇とは「不合理な待遇差が禁止」というもので、許容範囲が若干広くなります。
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上記のように正規社員と非正規社員を比較した際に職務内容や配置その他にまったく違いがないのであれば、非正規社員にも正規社員と「同一の労働条件」としなければならず、会社としては大幅な負担増ということになってしまいます。

裁判例と今後の法改正
img_onepoint_0078_02.png上記の待遇差について争われた裁判例として「ハマキョウレックス事件」「長澤運輸事件」(最高裁 平30.6.1判決)があります。前者は運送会社の有期契約ドライバーが各種手当や一時金等について正規社員と比較して不合理な相違があるとして争われたもので、判決は無事故手当や皆勤手当など住宅手当以外は不合理という結果になりました。一方、後者については運送会社の定年再雇用社員が正社員との待遇差で争われたものでしたが、判決は精勤手当以外、基本給やその他の手当は不合理ではないという対照的な結果となりました。差が出た要因として裁判所が定年再雇用者に対しては「その他の事情」が異なると判断したとされています。ただし、今後は従来のパートタイム労働法に定年再雇用者などの有期雇用者を加えた「パートタイム・有期雇用労働法」が2020年4月(中小企業はその1年後)から施行になりますので、同じ判決内容になるであろうという推測はできません。

法改正により会社に求められること
上記の「パートタイム・有期雇用労働法」の施行によって主に以下の2つが会社に求められます。

A. 不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正規社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を作ることが禁止されます。
【均衡待遇規定(不合理な待遇差の禁止)法第8条、均等待遇規定(差別的取り扱いの禁止)法第9条。その他、待遇ごとに判断を明確化するためのガイドライン(指針)策定(法第15条)】

B. 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、会社に対して説明を求めることができるようになります。
【①雇用管理上の措置の内容及び待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務(法第14条第1項、第2項)、②パート・有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員との待遇差の内容・理由等を説明する義務(法第14条2項)、③説明を求めた労働者に対する不利益取扱いを禁止(法第14条3項)】

(会社が)今後とるべき方向性
上記の待遇差の禁止をクリアするには、まず正社員と非正規社員の現状を基本給、各手当、賞与、退職金、福利厚生など項目ごとに比較検証する必要があります。そのうえで、算定の基礎となる基準や評価制度の見直しまたは構築等が必要になるでしょう。そして、非正規社員から待遇差について説明を求められた場合には、書面で項目ごとに説明することができるレベルにしておくことが必要になります。求められているのは現在の働き方の「改善」ではなく「改革」ですので、正しい方向に正しい努力をして向かっていきましょう。