「現物出資の適格性における国外財産」|税務通信 READER'S CLUB

No.3597
(2020年3月16日号) 4頁

裁判例・裁決例「大手製薬会社が行った現物出資を巡る事件で国敗訴」

Q1

 内国法人が、外国法人に国内資産を現物出資する場合には、適格現物出資に該当しないことは分かりましたが、なぜ、外国法人に国内資産を現物出資する場合は、非適格にする必要があるのでしょうか。

A1

 法人への出資は、金銭で払込みをすることが原則ですが、現物の資産をもってこの払込みに変えることができます。これが現物出資ですが、税務上は払い込みであっても、資産の譲渡と整理しています。つまり、現物出資であっても、資産の譲渡として取り扱われます。
 一方で、適格性を認められた現物出資は、合併などの組織再編成と同様に、簿価で資産を移転させることになります。出資をする側は簿価で譲渡、出資を受ける側は簿価で受入れ、です。適格要件を満たした現物出資であれば、含み益が100億円の資産を出資しても、その含み益を実現させずに、簿価により移転させることができるのです。
 これが許されるのは、移転資産に対しては、いつかは日本国が課税できるからです。例えば、親会社が保有する含み益のある有価証券を、適格現物出資により100%子会社に移転させた場合。その有価証券を受け入れた100%子会社においては、その有価証券を売却した際に、子会社でその含み益に課税が生じます。課税できるタイミングの差はあっても、原則的には、租税回避は起きないと考えることができます。
 また、出資者からすると、単なる含み益の付け替えという側面もあります。先の例であれば、移転させた有価証券の含み益分だけ、100%子会社株式の価値が増加することになります。言い換えれば、親会社は有価証券の含み益を失って、同額の子会社株式の含み益を得たことになります。含み益の対象資産が、変わっただけです。
 ただし、外国子法人に対して現物出資をする場合は、話が変わります。外国子法人に含み益のある有価証券を簿価で移転させれば、その後、外国子法人が有価証券の売却益を得ても、原則として、日本国では課税できないことになります。さらに、有価証券の売却益がかからない国の法人を利用すれば、無税で含み益のある有価証券の処分ができてしまいます。
 このような租税回避を防止するために、外国法人に国内資産を現物出資する場合は、非適格としているのです。

 反対に、外国法人が内国法人に国外資産を移転させる現物出資も、非適格現物出資となります。含み損のある国外資産を、内国法人に簿価で受け入れることを認めれば、その含み損資産を内国法人が売却することによって、日本で損失を計上することができます。含み損の日本への持ち込みが可能になるのです。

 

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