解約返戻金を受け取った場合の一時所得における必要経費|税務通信 READER'S CLUB

No.3647(令和3年3月22日号) 2頁

低解約返戻金型保険の所得税の取扱い変更を検討

Q1

 低解約返戻金型生命保険の契約者を、法人から個人に変更した後に、その保険を解約した個人において受け取る解約返戻金は一時所得とされていますが、その一時所得の計算における「収入を得るために支出した金額」は、具体的にどのような計算になるのでしょうか?

A1

 解説記事の典型例は、当初、法人が契約者として低解約返戻金型生命保険の保険料を払い込み、解約返戻金が払い込んだ保険料総額よりかなり低額である時点で、社長などの個人に保険契約者の変更を行うものです。つまり、法人としては、多額の保険料を払い込んだ保険契約を、その時点の解約返戻金相当額で、社長に譲渡するのです。その後、その社長が保険料を個人で1回だけ払い込み、解約返戻金が急増した時点で、保険契約を解約し個人で解約返戻金を受け取ることになります。
 この解約返戻金は一時所得の収入に該当しますが、一時所得の計算における「収入を得るために支出した金額」については、過去において裁決等が存在します。
 例えば、平成27年4月21日採決では、以下のように、契約者変更前に法人が負担した保険料は、「収入を得るために支出した金額」には該当しない、としています。

《要旨》
 法人の代表取締役である請求人は、同人が当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を含む当該生命保険契約に係る保険料の総額を控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、一時所得に係る支出が所得税法第34条《一時所得》第2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならないと解するのが相当である。なお、所得税法施行令(平成23年6月改正前のもの)第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項第2号についても、以上の理解と整合的に解釈されるべきものであり、同号が一時所得の金額の計算において支出した金額に算入すると定める「保険料...の総額」とは、保険金の支払を受けた者が自ら負担して支出したものといえる金額をいうと解すべきであって、同号が、このようにいえない保険料まで上記金額に算入し得る旨を定めたものということはできない。したがって、当該解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人がその名義により支払った保険料は、これを控除することはできない。

 一時所得については、収入金額から「収入を得るために支出した金額」を控除することが認められ、収入を得るための投下資本の控除を認めています。ただし、「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る」とされている通り、収入を生んだ支出に限って控除するという、収入との厳格な個別的対応関係が要求されています。
 このような厳格な個別的対応関係が求められる結果、例えば、競馬の払戻金に係る一時所得の金額の計算において、実際に控除が認められるのは、その収入金額と直接結び付く当たり馬券の購入代金に限られます。
 したがって、上記のケースでは、個人が法人から保険契約を買い取った際に支払った金額(解約返戻金相当額)と、個人に契約が変更になった後に個人で負担した保険料の合計額が、「収入を得るために支出した金額」になります。

一時所得の金額

解約返戻金‐(保険契約の買取金額+個人へ契約者変更後に支払った保険料)‐50万円

 なお、解説記事では、法人契約の定期保険を個人に名義変更した際の給与課税の経済的利益を「解約返戻金額」から「資産計上額」に通達改正をすることが検討されているとしています。この改正後における、上記算式の「保険契約の買取金額」は、「資産計上額」に変更になると思われますので、今後の改正の行方にも注目が必要です。


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