第198回 「みなし大企業」と「適用除外事業者」との関係 ~制限を受ける税制に相違も~

■「適用除外事業者」の適用がスタート
前回のコラムで、平成31年度税制改正により、租税特別措置法上の中小企業者から除外される「みなし大企業」を判定するときの「大規模法人」の定義の見直しおよび判定からの自己株式の除外により、「みなし大企業」の範囲が拡大することにより、中小企業者の範囲が一部縮小されることとされたことを取り上げました。平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用されますが、いつの時点で判定するかはその税制の取扱いによることとなる点についても解説しました。
平成29年度税制改正において、中小企業者のうち、いわゆる「適用除外事業者」については、租税特別措置法上の中小企業向けの特例の対象から除外されることとなる改正が行われています。本改正も、平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。「適用除外事業者」とは、前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者をいいます。3月決算会社の場合、令和2年3月期から適用されますが、適用初年度は平成29年3月期から平成31年3月期の3事業年度の平均所得金額により判定することになります。

■制限される税制措置が異なる
今後の実務においては、資本金または出資金の額が1億円以下の事業者は、「みなし大企業」に該当するかどうかと、「適用除外事業者」に該当するかどうかを両方判定する必要が生じます。
また、「みなし大企業」に該当する場合と、「適用除外事業者」に該当する場合で、制限される税制措置が一致していない点にも目配りが必要になります。両者が制限を受ける税制は、それぞれ次の表のようになります。

「みなし大企業」および「適用除外事業者」が制限を受ける中小企業向け特例措置

中小企業向けの特例税制 みなし大企業 適用除外事業者
中小企業技術基盤強化税制(措法42の4④、⑤)

高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の
税制のうち中小企業者等のみに適用される規定
(措法425②)

中小企業投資促進税制(措法426)

商業等活性化税制(措法42123

中小企業経営強化税制(措法42124

賃上げ等に係る税制のうち中小企業者等のみに
適用される規定
(措法42125②)

被災代替資産等の特別償却(措法433

特定事業継続力強化設備等の特別償却(措法442

少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例(措法675
適用不可 適用不可
中小企業者等の軽減税率の特例(措法4232
中小企業者等の一括評価貸倒引当金の特例(措法579
適用可※ 適用不可
交際費の定額控除(措法614②)
中小企業者の欠損金の繰戻し還付(措法6613
適用可※ 適用可※

※大法人(資本金または出資金の額が5億円以上の法人等)による完全支配関係がある法人については適用に制限がかかる。


■法人税法上の特例との関係
法人税法においては、租税特別措置法上の特例とは別に、中小企業者向けの特例が置かれています。具体的には、貸倒引当金の繰入(法法52)、法人税率の軽減(法法66)および特定同族会社の留保金課税の不適用(法法67)です。先の「みなし大企業」および「適用除外事業者」については、この法人税法上の特例についての制限はかかりません。ただし、大法人(資本金または出資金の額が5億円以上の法人等)による完全支配関係がある法人については制限がかかる点に留意する必要があります。