2020/06/04 12:00
新型コロナウイルスの感染症の影響により中止となったイベント等のチケットの払戻しを受けなかった場合には、「寄附金控除」の適用を受けることができるそうですが、この「寄附金控除」とはどのような制度ですか。適用を受ける際の留意点も併せて教えてください。
寄附金控除とは、個人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して特定寄附金を支出した場合に、所得税や住民税の優遇を受けることができる制度です。寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
1.所得税の計算のしくみ
本題である寄附金控除の解説に入る前に、まずは所得税の計算のしくみを確認します。
所得税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額について、次の2段階で計算します。
<所得税の基本的な計算方法> 【ステップ1】 (各種所得の金額(10種類)- 所得控除(15種類))×所得税の税率=所得税の金額 【ステップ2】 所得税の金額-税額控除(住宅ローン控除など)=納付する所得税額 |
所得税は、給与所得や事業所得などの所得の性質に応じて10種類に区分し、その区分に適合した方法により計算した「各種所得の金額(簡単にいうと利益)」から、基礎控除や扶養控除などの15種類の「所得控除」を控除し、その控除した後の金額に応じた所得税の税率(5%~45%)を乗じて計算します(【ステップ1】の算式)。
次に、【ステップ1】で計算した所得税の金額から、住宅ローン控除などの「税額控除」の適用を受ける場合には、その税額控除の金額を控除して納付する所得税額を計算します(【ステップ2】の算式)。
2.寄附金控除とは
寄附金控除とは、上記【ステップ1】の「所得控除」の一つで、個人が「特定寄附金」を支出した場合に適用を受けることができます。ここで注意が必要なのは、控除が受けられるのは「特定寄附金」に限られ、すべての寄附が寄附金控除の対象になるわけではないという点です。特定寄附金に該当するものは、通常は寄附金の受領証(領収書)に記載されていますが、不明な場合には寄附先にご確認ください。
控除額は、次の算式で計算します。
<寄附金控除(所得控除)の計算方法> 次のいずれか少ない金額 - 2,000円 ① その年に支出した特定寄附金の額の合計額 ② その年の総所得金額等の40%相当額 |
特定寄附金のうち認定NPO法人や政党等に対する寄附金など一定のものは、その年分の所得税額の25%相当額を限度として、【ステップ2】の「税額控除」を選択することが可能です。
控除額は、次の算式で計算します。
<寄附金控除(税額控除)の計算方法> (次のいずれか少ない金額 - 2,000円)× 40%又は30%(※) ① その年に支出した税額控除の対象となる特定寄附金の額の合計額 ② その年の総所得金額等の40%相当額 (※)寄附金の種類により異なり、今回のチケットは40%。 |
今回の新型コロナウイルスの感染症の影響により中止となったイベント等のチケットの払戻しを受けなかった場合の寄附金控除は、上記の「所得控除」か「税額控除」かいずれか有利なほうを選択して適用することができます。どちらが有利かについては、各個人の所得金額や適用される税率(5%~45%)などにより異なるため、適用にあたっては両方計算した上で選択することが有効です。
上記は、所得税の寄附金控除について解説しましたが、このほかに個人住民税にも優遇制度があるため、居住している自治体のホームページ等でご確認ください。
3.寄附金控除を適用する際の留意点
寄附金控除は、所得控除・税額控除いずれも確定申告を行わなければ適用を受けることができません。年末調整では適用できませんのでご注意ください。
新型コロナウイルスの感染症の影響により中止となったイベント等のチケットの払戻しを受けなかった場合の寄附金控除について、寄附金控除の対象となる公演や寄附金控除を適用するまでの具体的な流れなどの詳細は、スポーツ庁のホームページを参照してください。
スポーツ庁「チケットの払戻請求権の放棄を寄附金控除の対象とする税制改正」
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/detail/jsa_00002.html
本誌関連ページ
与党税調 新型コロナ対応で税制上の支援策を固める
No.3600(令和2年4月6日号)2頁