消費税 割戻し計算と積上げ計算|税務通信 READER'S CLUB

No.3650(令和3年4月12日号) 2頁

税務の動向 インボイスの税額計算 選択可能な組合せは7パターン

Q1

 領収金額が少額で領収回数が多い業種では、なぜ売上税額の計算において「積上げ計算」が有利になるのでしょうか。

A1

 領収金額が少額で領収回数が多い業種では、販売時の消費税額の端数処理の影響で、「積上げ計算」のほうが有利になることがあります。具体例で確認してみましょう。

■具体例■ 弁当販売店のケース
1個当たりの販売価格860円(うち消費税額等63円(※1))の弁当を5,000回販売
(注)1回で5,000個の販売ではなく、1個の弁当を5,000回販売したケース

(1)売上高  販売価格860円(税込)×5,000回(個)= 4,300,000円
(2)消費税額等 消費税額等63円×5,000回(個)= 315,000円

(※1)軽減税率対象商品
    860円 × 8/108 = 63.703... → 63円(1円未満の端数切捨)

1.消費税の納付税額の計算方法
 税務署に納める消費税額は、売上に対する消費税額(売上代金とともに預かった消費税額)から、仕入に対する消費税額(仕入代金や経費とともに支払った消費税額)を控除して計算します。

■消費税の納付税額の計算方法■

売上に対する消費税額 ― 仕入に対する消費税額 = 納付する消費税額

 この「売上に対する消費税額」と「仕入に対する消費税額」の計算は、一定の要件のもとに、それぞれ「積上げ計算」または「割戻し計算」のいずれかの方法を選択することができます。

2.「積上げ計算」と「割戻し計算」
 「積上げ計算」とは、適格請求書等(インボイス)に記載された消費税額を積み上げた金額を売上に対する消費税額または仕入に対する消費税額とする方法です(下記計算例(1))。
 これに対して「割戻し計算」とは、税率の異なるものごとに区分して合計した税込対価の額に消費税率を生じて計算した金額により納付税額を計算する方法です(下記計算例(2))。

■売上に対する消費税額の計算(※2)■

(1)積上げ計算の場合
  63円×5,000回(個)= 315,000円
(インボイスに記載された消費税額等63円を5,000回積み上げた金額)

(2)割戻し計算の場合
  4,300,000円(税込売上高)× 100/108 = 3,981,481円
                   → 3,981,000円(千円未満切捨)
  3,981,000円 × 8%(軽減税率)= 318,480円

(※2)実際の消費税の申告書における税額計算は、国税分の消費税と地方消費税を分けて計算しますが、この計算例では合計の税率を用いて計算をしています。

 売上に対する消費税額が少ないほうが、納付税額は少なくなるため、今回のケースでは積上げ計算を採用したほうが有利といえます。計算例では、売上に対する消費税額のみを計算していますが、仕入に対する消費税額も同様に計算して、有利な方法を選択します。なお、インボイス制度導入後は、売上税額を積上げ計算した場合は、仕入税額も積上げ計算をしなければならないとされています。
 積上げ計算のほうが有利になった理由は、販売時に受領する消費税額を計算する際の端数処理にあります。消費税額を計算した際に生じる1円未満の端数の処理方法(切捨て、切上げ、四捨五入)は、それぞれの事業者の判断に任されています(今回のケースは「切捨て」)。

 「積上げ計算」はインボイスに記載された消費税額を積み上げるため、今回のケースのように販売時の端数処理により切捨てられた消費税額は、売上に対する消費税額にも含まれません。
 これに対して、「割戻し計算」は税込売上高の合計額をもとに売上に対する消費税額を計算します。この計算方法では、販売時の端数処理により切捨てられた5,000回分の消費税額が合算されるため、領収金額が少額で、領収回数が多い業種では、実際に受領した消費税額(インボイスに記載された消費税額の合計額)よりも大きくなることがあります。


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