2021/06/08 10:00
海外ではワクチン接種率の増加に伴って経済が大きく好転しているようですが、我が国は「緊急事態宣言」の度重なる延長が続いています。コロナ禍脱却のためにもワクチン接種の早期拡大を願いたいところです。
さて、このような厳しい状態ではありますが、労働保険の年度更新、社会保険の算定、そして雇用調整助成金の特例措置延長など知っておくべき情報が目白押しですので、今回はそれらの変更点等を詰め合わせパックとしてお届けいたします。
労働保険年度更新の変更点
労働保険は年に1回、4月から翌年3月まで見込み(概算)で保険料を支払い、翌年の6月にこの期間に実際に支払った労働者の賃金合計額をもとに確定の保険料額を計算しますが、昨年との主な変更点は以下のとおりです。
変更点①
上記の計算の際に不足額や翌年に充当させる金額を算出しますが、この基になる「労働保険料概算・確定申告書」の書式が変更になりました。昨年まで「高年齢労働者分(4月1日時点満64歳以上)」については書式内で雇用保険料の計算基礎から除くための欄が設けられていましたが、すでに法改正で雇用保険料の対象になっているため、この欄と算定対象欄が今年の用紙では廃止されています。
変更点②
申告書の右下にあった「会社代表者印押印欄」が廃止になりました。
変更点③
昨年は、概算・確定申告書の提出と労働保険料の納付が8月末まで特例で延長されていましたが、今年は原則通り6月1日から7月12日までに申告書の提出・納付を行わなければなりません。
<令和3年度 労働保険・年度更新 申告書の書き方(厚生労働省)>
社会保険定時決定(算定)の変更点
社会保険は4月から6月に実際に支払われた給与額を合計し、月平均額を算出、その年の9月からの社会保険料の標準報酬月額を決定しますが、その計算データにあたる「算定基礎届」等の主な変更点は下記のとおりです。
変更点①
支払基礎日数が17日未満(パートの場合の基礎日数が15日未満)の月があった場合、算定基礎届に記載する報酬の合計欄について昨年は「-(横棒)」の記載例でしたが、今年は「-(横棒)」ではなく実際の報酬金額を記載、ただし平均額は対象となる17日以上(パートは15日以上)の月のみを対象として算出、記載します。
変更点②
7月1日時点で一時帰休が解消しているケースの算定基礎届記載について、昨年は一時帰休中の報酬額は記載せず「-(横棒)」の記載例でしたが、今年は「-(横棒)」ではなく実際の報酬金額を記載、合計額と平均額にも含めて計算記載。ただし修正平均額には含めずに記載するという面倒な内容になっています。
変更点③
昨年までの「被保険者報酬月額算定基礎届総括表」が廃止になります。
変更点④
算定基礎届にあった会社代表者印の押印欄が廃止されます。
<令和3年度 算定基礎届の記入・提出ガイドブック(日本年金機構)>
雇用調整助成金の特例期間延長の変更点
先月時点で特例期間が一部内容を変更して5月、6月、まで延長される旨を記載しましたが、緊急事態宣言の再延長等を受け下記に変更となりました。
変更点①
特例期間が令和3年7月末まで延長されました。
変更点②
5月1日以降の特例期間中での取り扱いが一部変更したことに伴い、書式内容が変更になりました。下記のHPで4つの質問に対する答えて「様式の確認」ボタンをクリックしていくと、使用すべき様式の番号が表示される仕組みになっています。
<雇用調整助成金「様式」ホームページ(厚生労働省)>
不明な点については以下のコールセンターにお問い合わせください。
<雇用調整助成金、産業雇用安定助成金、学校等休業助成金・支援金コールセンター>
0120-60-3999 受付時間 9:00~21:00 土日・祝日含む
まとめ
緊急事態宣言の延長に伴う政府の対応措置は理解できますし、ありがたいこととも思います。しかし、会社担当者の方や社会保険労務士の書類作成の労力が増えるという点はなんとかならないかと思うほどです。苦しい時期ではありますがあと少しの辛抱と信じて頑張っていきましょう!
一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。 |