過重労働解消キャンペーンの重点監督結果が公表される

そろそろ梅雨入りのシーズンとなりました。高温多湿なこの時期は体調を崩す方も多いですので、会社担当者の方はご注意ください。さて、厚生労働省から昨年11月に実施された「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果が発表されています。働き方改革の影響がいよいよ現実味を帯びてきていますので、この結果を参考に貴社の状況を検証なさってください。

長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現
img_onepoint_0067_01.jpg今回の重点監督は、過労死等に関する労災請求や、若者を過酷な環境下で働かせていると疑われる事業場など労働基準法関連の違反が疑われる事業場などを重点に実施されました。
結果としては監督指導を実施した事業場7,635事業場に対し、労働基準法等の法令違反ありとされた事業場は5,029事業場(65.9%)でした。




<前年比較>

監督実施事業場 うち、労基法などの法令違反があったもの
平成29年度結果 7,635 5,029(65.9%)
平成28年度結果 7,014 4,711(67.2%)

上記法令違反の5,029事業場の内訳ですが
 ・労働時間(36協定未締結の時間外労働、36協定時間数超過等)が2,848事業場(37.3%)
 ・賃金不払残業(計算誤り等は含まず)が536事業場(7.0%)
 ・健康障害防止措置(衛生委員会未設置、健康診断・面接指導未実施等)778事業場(10.2%)
 となっています。

重点監督により把握された実態
img_onepoint_0067_02.jpg違法な時間外労働があった2,848事業場において、時間外・休日労働が最長の者を確認したところ以下のような実態が把握されました。






<違法な時間外労働があった事業場における時間外・休日労働時間が最長の者の実績>

80時間以下 80時間超
100時間以下
100時間超
150時間以下
150時間超
200時間以下
200時間超
1,154 592 880 177 45

※上記時間数は1ヶ月の期間中における時間数
あくまで目安ですが過労死と判断されるラインの80時間(発症前2~6ヶ月平均)100時間(発症前1ヶ月)に達している従業員が相当数実在していることが実態として表れています。

企業が実施した長時間労働削減の自主的取り組み
今回の重点監督結果発表には、労働局のキャンペーン期間中に訪問した企業が長時間労働削減に向けた取り組み事例がありましたので、以下、項目別にご紹介させていただきます。
【時間外労働削減の対策】
定番的な「ノー残業デー」の他、「PCやICカードを使用した勤務状況の見える化」や、「会議資料はあらかじめデータ共有、TV会議導入による移動時間の削減」など、現代技術を活用した例。
【年次有給休暇の取得促進】
リフレッシュ休暇や家族の病気休暇、ボランティア休暇や子どもの学校行事関連の休暇など、独自の休暇制度の例。
【働きやすい環境づくり】
社員間の情報共有による多能工化(担当不在でも対応できる体制)や、紙ではなく電子データの共有化、従業員の家庭環境に合わせたテレワーク例。上記のようにいろいろなアイディアが紹介されていました。

長時間労働における対策のポイントは「ただ単に残業時間を減らす」ではなく、「いかに働き方を工夫して労働時間を短縮するか」にあると思われます。今回の調査結果による長時間残業の存在の実態を踏まえ、他社の取組例を参考とした貴社独自の対応策の一助になれば幸いです。

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