2017/06/19 9:00
法人住民税の均等割や法人税割の税率は各都道府県・市町村によって異なりますが、事業所が複数ある場合に納める法人住民税の金額はどのように計算するのでしょうか。
1.法人住民税の計算方法
法人住民税とは、法人が所在する道府県に対して申告・納付を行う「道府県民税」と、市町村に対して申告・納付を行う「市町村民税」をいいます。法人住民税は、いずれも「法人税割」と「均等割」の合計額を納めます。なお、東京都23区(特別区)は市町村民税に相当する税額を併せて東京都に納めます。
(1)均等割 所得金額の有無に関わらず、資本金等の額や市内の従業者数に応じて一定の税額を納付します。 (2)法人税割 法人税額に法人税割の税率を乗じて計算した税額を納付します。 |
2.事業所が複数ある場合の取扱い
法人が複数の都道府県・市町村に事務所や事業所を有する場合の法人住民税の均等割及び法人税割は、それぞれ次のように計算をします。
(1)均等割 道府県・市町村(政令指定都市では区)が異なるごとに均等割が課されます。 (2)法人税割 法人税割の計算の基礎となる法人税額の総額を関係する道府県・市町村ごとに分割して税額の計算を行います。その際に用いる基準を「分割基準」といいます。法人住民税の法人税割の分割基準は、各道府県・市町村において事業に従事する従業者の人数によります。具体的には、各道府県・市町村において事業に従事する従業者の人数により按分した法人税額(課税標準額)に税率を乗じて算出します。 |
【具体例】3月決算法人・資本金300万円
本社:群馬県前橋市(従業者数20人)
支店:神奈川県横浜市中区(従業者数10人)
法人税額:150,000円
(1)法人県民税(群馬県・神奈川県)
群馬県 | 神奈川県 | 合計 | |
均等割 - ①
|
21,400円
|
20,000円
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41,400円
|
法人税割
|
|||
分割基準(人)
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20人 | 10人 | 30人 |
課税標準
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100,000円
|
50,000円
|
150,000円
|
税率
|
3.2% | 3.2% | - |
税額 - ②(※)
|
3,200円
|
1,600円
|
4,800円
|
合計(①+②)
|
24,600円
|
21,600円
|
46,200円
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(2)法人市民税(前橋市・横浜市)
前橋市 | 横浜市 | 合計 | |
均等割 - ①
|
60,000円
|
54,500円
|
114,500円
|
法人税割
|
|||
分割基準(人)
|
20人 | 10人 | 30人 |
課税標準
|
100,000円
|
50,000円
|
150,000円
|
税率
|
12.1% | 9.7% | |
税額 - ②(※)
|
12,100円
|
4,800円
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16,900円
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合計(①+②)
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72,100円
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59,300円
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131,400円
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(※)税額は100円未満の端数は切り捨て。
なお、事業所が複数ある場合に納める法人事業税の計算に用いる分割基準は、その法人の業種により従業者数や事業所の数など、法人住民税の分割基準とは異なる基準を適用する点には注意が必要です。
本誌関連ページ
全国都市法人住民税率・事業税率一覧
No.3462 (平成29年6月19日号)21頁