これからの消費税実務の道しるべ|No.3413

No.3413
(平成28年6月20日号)54頁

これからの消費税実務の道しるべ

Q1

 「高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例及び簡易課税制度の特例」は、会計検査院の指摘を契機に創設されたそうですが、会計検査院とはどのような役割を果たす機関なのでしょうか。また、記事に掲載されているもののほかに、どのようなことを指摘しているのでしょうか。


A1

 会計検査院は、国会や裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する役割を果たしています。
 会計検査院が1年間にわたって実施した会計検査の成果を明らかにした文書(検査報告)は、検査が済んだ決算とともに内閣に送付され、内閣から国会に提出され、国会で決算審査を行う場合の重要な資料になります。


1.会計検査院の検査の対象

 会計検査院が行う検査の対象は、国会、裁判所、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省の毎月の収入支出等のように必ず検査しなければならないもの(必要的検査対象)と、会計検査院が必要と認めるときに検査することのできるもの(選択的検査対象)とがあります。
 財務省の収入支出は必要的検査対象であるため、財務省にとっての収入、つまり税収について、各税務署における徴収不足や過大徴収の検査を行っています。


2.会計検査院による指摘事項

 平成26年度の会計検査院の検査の結果、38税務署において、次の徴収不足・過大が指摘されました(出典:会計検査院「平成26年度決算検査報告」)。


徴収不足(*1) 徴収過大(*2)
事項数 徴収不足額 事項数 徴収過大額

源泉所得税(*3)

申告所得税(*3)

法人税

相続税・贈与税

消費税

2

19

30

15

6

7,425,442円

70,326,600円

129,311,800円

16,734,600円

7,287,900円

△2,713,600円

△43,003,400円

72 231,086,342円 2 △44,717,000円

(*1) 平成21年度から平成26年度まで
(*2) 平成22年度から平成24年度まで
(*3) 復興特別所得税が課される年度は、復興特別所得税を含む


税目ごとの具体的な指摘事項は、次のとおりです。

(1)申告所得税
【事例1】 貸付けの用に供した不動産の取得価額に含めなければならない仲介手数料を必要経費に算入していた事態
(2)法人税
【事例2】 受取配当等の益金不算入の対象とならない特定外貨建等証券投資信託の収益の分配金等を受取配当等の益金不算入額としていた事態
【事例3】 特定同族会社の課税留保金額の計算を誤り特別税率の法人税を課していなかった事態

(3)消費税
【事例4】 課税仕入れにならない給料賃金を課税仕入れに係る支払対価の額に計上しているのに、これを見過ごしたため、課税仕入れに係る消費税額の控除額を過大のままとしていた事態

近年では、「事業者免税点制度の免税事業者の要件の見直し(特定期間による判定の創設)(平成23年度改正)」や「簡易課税制度のみなし仕入率の見直し(平成26年度改正)」も会計検査院の指摘を受けて改正が行われたものです。