第199回 通常の維持管理のための費用とは ~修繕費と判断されるための要件~

■修繕費の内容
修繕費とは、法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうちその固定資産の通常の維持管理のため、またはき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額であるとされています(法基通7-8-2)。前段が「通常の維持管理のための費用」であり、後段が「原状回復費用」です。
税務調査の場面において、修繕費であるのか資本的支出であるのかが問題になりやすいですが、この「通常の維持管理」とは何を指すのかを適切に理解・整理することが必要不可欠です。

■通常の維持管理のための費用
通常の維持管理とは、次のように考えることができます。すなわち、固定資産は反復・継続して使用するものであるため、予定された機能・性能を維持するために、その維持補修は日常的に行われます。具体的な態様としては、点検、清掃、給油、補修、部分品の交換等です。それらは、固定資産の原状の効用、原状の価値を維持するために行われるものといえます。したがって、通常の維持管理のための費用は、「反復性」および「予測可能性」という2つの性格を持つと考えられています。それに対して、原状回復費用は非常性、非予測性という対照的な性格を持つと考えられます。
例えば、物の裁断を行う機械装置があったものとします。一定期間使用することにより、裁断の性能が落ちてきます。その機械装置の予定された機能・性能を維持するために、一定期間使用するごとに、刃先を研ぐメンテナンスを行う、あるいは、刃先部分だけ交換できる構造になっており、その交換を行うという行為は、裁断を行う機械装置の原状の効用を維持するために行われるものです。固定資産の継続使用の中で反復するものであり、事前に予測することも可能ですので、「反復性」および「予測可能性」という性格を持つことが考えられます。

■資本的支出との相違
資本的支出は、税法上、修繕費との区別の必要上設けられている概念であると考えられます。通常の維持管理をするものとした場合に予測される使用可能期間を延長させる部分の金額、および通常の維持管理をするものとした場合に予測される価額を増加させる部分の金額である旨が規定されていることからも明らかです。改造、改良、改装、新たな機能の付加、性能の向上などの支出は、原則として、資本的支出に該当します。
このように支出した金額について修繕費か資本的支出かの判断を行う際は、その固定資産の予定された機能・性能を維持するためのものなのか、通常の維持管理の範囲を超えるものであるのかを検討することが必要になります。