第139回 生産性向上設備投資促進税制と圧縮記帳との関係 ~税額控除・特別償却の適用を受ける資産と圧縮記帳との関係~

今月のキーワード ―2014年7月―
公認会計士 太田達也


■法人税法上の圧縮記帳と租税特別措置法上の圧縮記帳


圧縮記帳制度は課税の繰延を認める特例税制ですが、法人税法上の圧縮記帳と租税特別措置法上の圧縮記帳とがあります。国庫補助金等を取得して対象資産を取得したときの圧縮記帳(法法42条)は法人税法上の圧縮記帳制度ですが、特定資産の買換えに係る圧縮記帳(措法65条の7)は租税特別措置法上の圧縮記帳制度です。このいずれの法律に基づく圧縮記帳制度であるかが実は重要です。


■租税特別措置法上の特例税制の重複適用は不可


同じ租税特別措置法上の複数の特例税制の重複適用は基本的に認められていません。例えば、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または税額控除(いわゆる中小企業投資促進税制)を適用する機械装置等について租税特別措置法上の圧縮記帳制度を重ねて適用することはできません。

ところが、租税特別措置法上の特例税制の適用を受けた資産について、法人税法上の圧縮記帳制度を適用することは認められています。例えば、国庫補助金や助成金を受けて中小企業投資促進税制の適用要件を満たす機械装置等を取得したものとします。取得価額が2,000万円で国庫補助金等が1,500万円であったものとします。この場合に、国庫補助金等を受けて取得した機械装置等について1,500万円の圧縮記帳を適用した場合には、圧縮後の取得価額である500万円に対して7%を乗じた35万円の税額控除(ただし、適用年度の法人税額の20%相当額が限度)、または500万円に対して30%を乗じた150万円の特別償却のいずれかの適用を受けることができます。


■国庫補助金等の交付が翌期となる場合


国庫補助金等の交付が翌期となる場合に、どのように取り扱うのかが問題となります。国庫補助金等の交付が翌期となる場合は、圧縮記帳の適用も翌期となります。先の例の場合、取得価額2,000万円に7%を乗じた140万円の税額控除の適用を受けたうえで、翌期に国庫補助金等の交付を受けたことに基づいて、取得価額2,000万円について国庫補助金等で取得した固定資産の圧縮記帳の適用を受けることができると考えられます。

しかし、平成26年度税制改正で創設された生産性向上設備投資促進税制(措法42条の12の5)については、国庫補助金等の交付が資産取得の翌年度以後となる場合には、税額控除額は交付見込額を控除した額を基に計算するものとする内容が通達等で示されることが検討されているようです(週刊税務通信No.3302ご参照)。通達は早ければ7月にも公表されることが予想されていますが、その点をご確認していただければと思います。

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