使用人兼務役員になれない役員とは|税務通信 No.3515

No.3515
(平成30年7月16日号)38頁

ショウ・ウィンドウ 役員等への給与と税務調査

Q1

 使用人兼務役員になれない役員とは、どのような人なのでしょうか。


A1

 法人税法施行令71条では、使用人兼務役員とされない役員として、以下の者を掲げています。

(1)代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
(2)副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
(3)合名会社、合資会社及び合同会社の業務を執行する社員
(4)指名委員会等設置会社の取締役、監査等委員である取締役、会計参与、監査役及び監事
(5)同族会社の「みなし役員」の規定による、所有割合による判定要件を満たしているもの


 (1)は、そもそも使用人は、代表取締役の指揮・監督に服するべき立場にあります。そのため、同一人物がその相矛盾する地位を同時に有することはあり得ないためです。

 (2)は、副社長などは、その職制上の地位により、表見代表として私法上の責任を負っているとされています。そのため、(1)の代表取締役等と同様に、使用人を兼務できないこととされています。CEOやCFOなどの地位の者も、この(2)に分類されることになると思われます。
 なお、(2)は、定款の規定または総会もしくは取締役会の決議により、会社の内部組織上において明確にその地位が付与された役員をいいます。したがって、単なる通称または自称専務等のように、実態は単なる平取締役であるような者は該当しません(法人税法基本通達9-2-4)。

 次に、(3)の者も代表権を有する者になります。そのため、(3)の者は、(1)と同様の趣旨から、使用人を兼務できません。

 (4)の者は、会社法において使用人の兼務を認められていない者です。監査をする立場の人間が、監査を受ける側の立場を兼ねてはならないのは当然です。

 (5)に関しては、同族会社のオーナー家の方は、常に経営の中枢にあると認識されているためです。そのため、その勤務実態に関わらず、持株割合等の形式基準を満たしてしまうと、使用人兼務役員にはなれません。
 具体的には、次の3つの要件をすべて満たす者が該当します。

(1)会社の株主グループにつき、所有割合が上位3位までのグループの所有割合を算定した場合に、その者が次の[1]から[3]のいずれかのグループに属していること
[1]第1順位の株主グループの所有割合が50%超である場合の、その株主グループ
[2]第1順位と第2順位の株主グループの所有割合を合計した場合に、その所有割合が50%超となるときにおけるこれらの株主グループ
[3]第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合を合計した場合に、その所有割合が50%超となるときにおけるこれらの株主グループ
(2)その者の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
(3)その者(その配偶者ならびにこれらの者の所有割合が50%超である他の会社を含む)の所有割合が5%を超えていること。


 この判定は、株式の持株割合のみでなく、議決権割合及び社員数割合による判定も行います。
 なお、この判定においては、判定対象者が直接株式を保有しているかは要件とされていません。したがって、オーナー社長の奥さんは、本人が株式を保有していない場合であっても、使用人兼務役員にはなれないことになります。


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