第200回 割賦基準の廃止に伴う実務対応 ~収益認識会計基準を適用する会社と適用しない会社で対応が異なる~

■割賦基準の廃止
従来、割賦販売における収益計上については、販売基準に代えて、いわゆる割賦基準、すなわち割賦金の回収期限の到来の日または入金の日をもって売上収益実現の日とすることも認められていました。収益認識会計基準のルールでは、割賦基準は認められないとされました。収益認識会計基準では、顧客に支配が移転した時をもって、企業の履行義務が充足されると考え、原則として、支配が移転し履行義務が充足される時に収益を計上するものとされるため、割賦販売における支配の移転は資産の引渡しの時であるため、割賦基準は認められないこととされたものです。

■法人税法上も廃止
平成30年度税制改正により、割賦基準(税法上は、長期割賦販売等に係る延払基準といいます)の廃止が決定されました。すべての法人について廃止とされたのは、課税公平の観点からであると考えられます。廃止に伴い、次の経過措置が講じられた点に留意する必要があります。すなわち、平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について、令和5年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額および費用の額を計算することができることとするとともに、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合に、その時点における繰延割賦利益額を10年均等で収益計上するとする経過措置が講じられました。廃止に伴う所得への影響を緩和する措置であると考えられます。
※10年均等で収益計上するのは、未計上収益額がその資産に係る未計上費用額を超えるときとされています。

■収益認識会計基準を適用する会社における実務対応
収益認識会計基準を強制適用時期から適用する場合、令和3年4月1日以後に開始する事業年度の期首からの適用になります。令和3年4月1日以後に最初に開始する事業年度から延払基準の適用をやめることが考えられます。この場合は、前事業年度末の未計上収益額を10年均等で益金算入し、前事業年度末の未計上費用額を10年均等で損金算入することになります。ただし、会計上の損益に影響させてはいけませんので、申告調整により益金算入および損金算入を所得金額に反映することになります。
申告調整の具体例については、拙著『「収益認識会計基準と税務」完全解説』(税務研究会出版局)の60ページ以降に掲げる設例をご参照いただければ幸いです。

■収益認識会計基準を適用しない会社における実務対応
収益認識会計基準を適用しない会社の場合、令和5年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額および費用の額を計算することができますが、平成30年4月1日以後に終了する事業年度のいずれの事業年度から延払基準の適用をやめるかは任意です。いずれの事業年度でやめたとしても、延払基準の適用をやめた事業年度以後の各事業年度において、前事業年度末の未計上収益額を10年均等で益金算入し、前事業年度末の未計上費用額を10年均等で損金算入することになります。
収益認識会計基準を適用しない会社ですから、そもそも監査法人の監査を受けている会社や連結子会社等ではないことが想定されます。10年均等の益金算入および損金算入について、申告調整によらず、会計上の損益に反映しても問題ないと考えられます。