第176回 租税特別措置法の税額控除と圧縮記帳との関係 ~補助金の交付を受けて取得する資産の取扱い等~

今月のキーワード ―2017年8月―
公認会計士 太田達也

■圧縮記帳の種類

圧縮記帳には、法人税法上の圧縮記帳と租税特別措置法上の圧縮記帳があります。代表的なものを挙げると、次のようになります。

法人税法上の圧縮記帳

・国庫補助金等で取得した固定資産等(法法42~44)
・工事負担金で取得した固定資産等(法法45)
・保険金等で取得した固定資産等(法法47~49)
・交換により取得した資産(法法50)

租税特別措置法上の圧縮記帳

・収用等に伴い取得した代替資産(措法64、64の2)
・換地処分等に伴い取得した資産(措法65)
・特定の資産の買換え等により取得した資産(措法65の7~65の9)
・特定の交換分合により取得した土地等(措法65の10)


■租税特別措置法上の税額控除との関係

同一設備に対して租税特別措置法上の複数の特例税制を重複適用することは、基本的にできないものとされています。したがって、特定資産の買換え等によって取得した資産について圧縮記帳の適用を受ける場合は、その資産に対して税額控除を重複適用することはできなくなります。この点は、租税特別措置法上の特別償却についても、同様のことがいえます(以下同様)。

一方、法人税法上の圧縮記帳を適用する資産について租税特別措置法上の税額控除を重複適用することはできます。その場合は、圧縮後の取得価額に対して一定の控除率を乗じた額が税額控除限度額になります。

例えば、中小企業者等が補助金1,000万円の交付を受けて2,500万円の資産を取得し、この設備に対して中小企業経営強化税制による税額控除と国庫補助金等で取得した固定資産等に係る圧縮記帳を重複適用するものとします。この場合は、圧縮後の金額である1,500万円に対して7%(資本金の額または出資金の額が3,000万円以下の法人については10%)を乗じた額の税額控除を受けることができます。

■補助金の交付が取得事業年度の翌期となる場合

資産を取得して事業の用に供した事業年度の翌期に補助金の交付を受け、圧縮記帳の適用を予定しているものとします。この場合は、先の例で説明しますと、当期に取得価額2,500万円から補助金の交付予定額を差し引いた額に対して7%(資本金の額または出資金の額が3,000万円以下の法人については10%)を乗じた額について税額控除の適用を受けることができます。

なお、当期に地方公共団体が補助金の交付決定をした場合には、たとえ交付がその後の事業年度になる場合であっても、交付を受ける権利が確定したと考えられますので、未収入金を相手勘定としたうえで収益を計上し、その期に圧縮記帳を適用することはできると考えられます。

また、翌期に圧縮記帳の適用を受けないのであれば、当期に取得価額2,500万円に対して7%(資本金の額または出資金の額が3,000万円以下の法人については10%)を乗じた額について税額控除の適用を受けることができます。この場合は、翌期に圧縮記帳の適用を受けることができなくなります。

■最低取得価額要件との関係

租税特別措置法上の税額控除制度については、最低取得価額要件が定められているものがほとんどですが、圧縮記帳の適用を受ける資産については、圧縮記帳後の金額が最低取得価額以上である必要があります。すなわち、圧縮記帳前の取得価額が最低取得価額以上であっても、圧縮記帳後の取得価額が最低取得価額未満である場合は、租税特別措置法上の税額控除の適用を受けることはできません。