休職期間中のプライベート活動

 労働者がメンタルヘルス疾患で休職中の場合、家にこもっていることが必ずしも療養に資するとは限りません。むしろ、普段どおりの日常的な行動は、病前と同様に行うことが望ましいとされることもあります。

 

img_jitsumu_0033_01.jpg 一方で、労働者が、休職期間中にいわば休暇を満喫しているかのような態度を取っていた場合、会社の人事労務担当者の率直な感想としては、仕事を休んで遊んでいるということについて疑問を禁じ得ないということもあります。

 

 ここでは、医学的な見地から、プライベート行動について、療養のために差支えないと評価できるかどうかが問題となります。

 

 このような、休職期間中におけるプライベート行動に関しては、療養専念義務に違反するのではないかということが裁判においても争われることがあります。マガジンハウス事件(東京地判平20・3・10)では、休職期間中における、オートバイで頻繁に外出していたこと、ゲームセンターや場外馬券売場に出かけていたこと、宿泊を伴う旅行をしていたこと、連日のように飲酒やSMプレイを行っていたことといった行動について、特段問題視することはできないとされています。このように、休職期間中の労働者には、かなり自由な行動が認められているといえます。

img_jitsumu_0033_02.jpg たしかに、体調が悪いとして会社を休んでいながら、これらの行動を行なうことが適切なのかということは、人事担当者としては疑問を感じることもあるかと思います。しかし、プライベートな行動、本人の性癖といった事柄については、個人の価値観の問題となりますので、犯罪等でない限り、裁判所が善し悪しの判断をすることは困難といえます。むしろ医学的見地から、普段通りの生活を送ることが療養に資すると解釈されるのであれば、それ以上は、個々人の価値観に基づく行動の是非について踏み込みがたいという側面があるのではないでしょうか。

 

 一方で、裁判例において、休職期間中の行動としては問題があると認定されたものとしては、会社に赴いて抗議行動・組合活動をしたり、会社や組合のことを書き綴ったブログを日夜作成したりする行動が挙げられます。会社に対する抗議行動や組合活動については、医師から会社と関与する行動を控えるよう指示を受けていたことに反することが、日夜ブログを作成していた行為については、ブログ作成の後ベッドに直行する行動を繰り返していたものであり療養に支障を生じていることが、療養専念義務に違反するものであったとされています。

 

 いずれにしても、不適切行動を確認した場合には本人に事情の説明を求めると共に、医学的意見に基づく指導を行うことが必要になるでしょう。

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