年次有給休暇の出勤率要件

img_jitsumu_0017_01.jpg解雇処分を受けて出勤していなかったが、後に裁判等において同解雇が無効となった場合、年次有給休暇の取得要件である出勤率8割以上の算定にあたって、解雇により出勤していなかった期間を、全労働日に含んだ上で出勤扱いとすべきか、それとも、そもそも全労働日には含まれないとして扱うべきかという問題があります。この問題について、厚生労働省の通達の内容とは異なる判断が、最高裁(八千代交通事件最高裁平成25年6月6日判決)において示されました。

これまで通達は、無効な解雇など使用者の責に帰すべき事由による休業日は、出勤率の算定にあたって全労働日には含めないとしていました。この通達に従うと、同事件の原告が解雇の効力を争っていた期間(出勤率の算定対象となる一年度の期間)の全労働日は0日となるため、年次有給休暇の権利は発生しないことになります。

しかし、本事件の最高裁判決は通達と異なる解釈をしました。すなわち、年次有給休暇権の成立要件は、法の制定時の状況等を踏まえ、労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解されるとし、このような規定の趣旨に照らすと、無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるとしました。

img_jitsumu_0017_02.jpgなお、本判決は、労働者の責に帰すべき事由によらない不就労日であっても、不可抗力や、使用者側に起因する経営・管理上の障害による休業日等は、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当ではなく、全労働日から除かれるべきとしています。

本判決を受け、厚生労働省は通達を改定し(平25.7.10基発0710第3号)、労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、原則として、出勤率の算定にあたり出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるとし、例外として、①不可抗力による休業日、②使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日、③正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日は、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく、全労働日に含まれないものとするとしました。

本件では最高裁が、これまでの通達の内容とは異なる判断を示したため、企業においては、必要に応じて就業規則の見直し等を行う必要があります。

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