第177回 収益認識会計基準(案)における売上の計上基準 ~出荷基準は認められるか?~

今月のキーワード ―2017年9月―
公認会計士 太田達也

■基準案における計上時期
企業会計基準委員会から公表された「収益認識に関する会計基準(案)」(以下、「基準案」)では、収益の認識時期について次のような取扱いが示されています。すなわち、企業(売手)は、約束した財またはサービスを顧客(買手)に移転することによって、履行義務を充足したときに(または充足するにつれて)、収益認識をしなければなりません。

履行義務が一定の期間にわたり充足されるものである場合は、一定の期間にわたって収益を認識します。清掃サービスや警備保障サービス等の役務提供サービス、工事契約等で、このケースに該当するものが多いと考えられます。

一方、履行義務が一定の期間にわたり充足されるものではない場合には、当該履行義務は一時点で充足されるため、収益が一時点で認識されます。商品や製品の販売等は、このケースに該当するものがほとんどであると考えられます。

履行義務の充足と同時に顧客は資産に対する支配を獲得すると考えられています。基準案のルールでは、顧客に資産に対する支配が移転していない時点で、売手は収益を認識することはできません。

■支配の移転とは
資産に対する支配とは、当該資産の使用を指図し、当該資産からの残りの便益のほとんどすべて享受する能力です。支配の移転を検討する際には、例えば、次の①から⑤の指標を考慮するものとされています(基準案37項)。

①企業が顧客に提供した資産に関する対価を収受する現在の権利を有していること
②顧客が資産に対する法的所有権を有していること
③企業が資産の物理的占有を移転したこと
④顧客が資産の所有に伴う重大なリスクを負い、経済価値を有していること
⑤顧客が資産を検収したこと


■出荷基準は認められるか?
上記の考え方・ルールに従うと、現在多くの企業で採用されている「出荷基準」は認められないことになります。なぜならば、商品や製品を出荷した時点では、資産に対する支配が顧客に移転していないからです。

ただし、次の取扱いが別途示されています。すなわち、国内の販売において、出荷時から当該商品または製品の支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である場合、出荷時点や着荷時点に収益を認識することができるとする代替的な取扱いが認められます(適用指針案97項)。

ここで、出荷時から当該商品または製品の支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である場合とは、当該期間が国内における出荷および配送に要する日数に照らして取引慣行ごとに合理的と考えられる日数である場合をいいます(適用指針案97項後段)。国内における配送においては、数日間程度の取引が多いものと考えられます(適用指針案151項)。

この代替的な取扱いに示されている要件に当てはまる場合は、出荷基準が従前どおり認められることになります。

なお、割賦販売における割賦基準に基づく収益認識は認められません。割賦販売については、原則的な考え方を踏まえ、商品等を引渡した日をもって売上収益の実現の日とします。