エクスパットの経済的利益と課税|税務通信 READER'S CLUB

No.3564
(2019年7月15日号)誌面・DBセット契約限定記事

学ぼう! 経理マンのための源泉所得税入門 第4回 非課税所得と特殊な給与の取扱い(1)

Q1

 従業員への経済的利益の供与と非課税所得については理解できたのですが、来日している外国人社員(エクスパット)に対する経済的利益の取扱いで、特徴的なものはありますか?


A1

 来日している外国人従業員であっても、会社から受ける経済的利益については、日本人従業員と同様の課税関係となるのが原則です。ただし、本国を離れて日本で長期間勤務するなどその労働環境の特殊性から、日本人には認められていない特別な取り扱いもあります。

(1)ホームリーブ費用
 本国を離れて外国で長期間勤務するという環境に鑑み、本国への帰国費用(ホームリーブ費用)については、日本人にはない特例が設けられています。

直法6-1(例規) 昭和50年1月16日

(略)

 使用者が、国内において長期間引続き勤務する外国人に対し、就業規則等に定めるところにより相当の勤務期間(おおむね1年以上の期間)を経過するごとに休暇のための帰国を認め、その帰国のための旅行に必要な支出(その者と生計を一にする配偶者その他の親族に係る支出を含む。)に充てるものとして支給する金品については、その支給する金品のうち、国内とその旅行の目的とする国(原則として、その者又はその者の配偶者の国籍又は市民権の属する国をいう。)との往復に要する運賃(航空機等の乗継地においてやむを得ない事情で宿泊した場合の宿泊料を含む。)でその旅行に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものに相当する部分に限り、課税しなくて差支えない。

(略)

つまり、
・就業規則にホームリーブに関する定めをすること
・1年以上ごとに支給するものであること
・合理的な航空経路や方法であること
を充足すれば、配偶者や親族も含めた帰国費用を、課税されずに支給することができます。

 ただし、この通達が定められた趣旨を考えると、日本に留学している外国人を採用した場合など、会社の業務命令などではなく、本人の意思で日本に居住している外国人に対しては、同様の取扱いはできないと思われます。

(2)子女教育費
 来日した外国人社員の子供たちは、日本ではインターナショナルスクールに通うことが一般的です。その場合、当該外国人社員が勤務する日本企業が、インターナショナルスクールへ寄付を行うことにより、その子供たちの授業料が免除になるケースがあります。
 本来は、その外国人社員が個人で負担すべきものであり、経済的利益として所得税が課税されるのが原則です。しかし、その経済的利益発生の経緯等から、実務では、課税されない運用があるという話もあります。慎重な検討が必要です。


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