2020/09/10 9:00
連日の猛暑や新型コロナ対応で会社担当者の方は日々大変なご苦労をされていると思います。しかし、会社として対応しなければならないことが次々とやってきますので、情報源としてこのサイトを毎月ご確認いただければと思います。今回はコロナ禍での最低賃金改定などについてお伝えします。
最低賃金改定の流れ
まず、最低賃金改定の流れを確認しておきましょう。
この最低賃金額は年に1度、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて改定額の目安について答申がなされます。この結果を受けて地方最低賃金審議会が地域における状況等を調査審議の上、都道府県労働局長に答申。最終的に都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定します。
ランク | 都道府県 |
A | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 |
B | 茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島 |
C | 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡 |
D | 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
据え置きの対象は?
最低賃金はここ数年、平均で20円程度引き上げられてきました。この最低賃金額は時間給で出されますので、1ヶ月分にもなるとかなりの増額となり、中小企業などにとってはなかなかの支出増となっていました。しかし、今年はコロナ禍という未曽有の事態により、北海道、東京、静岡、京都、大阪、広島、山口の各都道府県が据え置きとなりました。
変更対象の都道府県(Aランク)
今年の最低賃金の引き上げ額は、1円から3円までとなっています。ちなみにAランクで引き上げられた都道府県については以下のとおりとなっています。
都道府県名 | 新最低賃金(引き上げ額) | 発効日 |
埼玉県 | 928円(2円) | 10月1日 |
千葉県 | 925円(2円) | 10月1日 |
神奈川県 | 1,012円(1円) | 10月1日 |
愛知県 | 927円(1円) | 10月1日 |
ちなみに最低賃金額には上記の「地域別最低賃金」の他に、特定の産業で労働する方を対象とした「特定最低賃金」があり、後者に該当する労働者の場合、地域別か特定かいずれか高い方の最低賃金額が適用されます。
改定の適用日 (発効日)
地域別最低賃金の額が改定後の金額に適用となる日(発効日)は上記のように10月1日が主流ですが、それ以外の発効日もありますので、自社の属する都道府県の発効日がいつなのかも確認しておく必要があります。また、この発効日と給与の締日は連動していませんので、発効日と締日が異なっている場合は給与締日の翌日から早めに新しい最低賃金額以上の賃金額にしておくか、発効日に合わせて給与計算ソフトを手修正するかのいずれかになるものと思われます。
ちなみにたかが1円と侮ってはいけません。雇用調整助成金を受給している会社の場合、支給されている時給額が最低賃金を下回っている際は最低賃金まで引き上げるように指導を受けることになります。そうなれば支給した給与を修正し、かつ、支給決定も遅れかねませんので、最低賃金の従業員がいる会社は特に注意が必要です。
その他の注意事項
~社会保険の定時決定と厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定
最低賃金については以上ですが、それ以外にも今回は注意すべき事項が2つあります。
1つは、社会保険料の定時決定の反映が9月(納付は10月)分の給与からという点です。今年はこのコーナーの7月10日号でご紹介した「コロナ特例改定」で標準報酬等級を引き下げた会社も多いと思いますが、算定基礎届で確定した等級に再度変更する必要があります。
そしてもう1つは、厚生年金の上限の等級が9月(納付は10月)からは従来までの第31級にさらに1級が、32級としてプラスになります。
【改定前】
月額等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 | 一般・坑内員・船員 | |
全額(18.3%) | 被保険者負担分(9.15%) | |||
第31級 | 620,000円 | 605,000円以上 | 113,460円 | 56,730円 |
【改定後】
月額等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 | 一般・坑内員・船員 | |
全額(18.3%) | 被保険者負担分(9.15%) | |||
第31級 | 620,000円 | 605,000円以上 635,000円未満 |
113,460円 | 56,730円 |
第32級 | 650,000円 | 635,000円以上 | 118,950円 | 59,475円 |
上記の等級アップについての届出は必要ありませんが、対象者がいる場合は年金事務所より通知が出される予定ですので、その際は給与から控除する保険料額について変更願います。