2018/09/17 9:00
記事では、先代経営者から複数後継者への贈与は同一年中にすればいいことが分かりましたが、そもそも「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)では、どのように規定されているのでしょうか。事業承継税制の適用は、経営承継円滑化法の要件を満たしているとして、都道府県知事認定を受けることが前提だったと理解しています。
複数後継者への贈与のタイミングは、経営承継円滑化法においても、租税特別措置法と同じ様な書きぶりとなっています。
経営承継円滑化法第6条第1項第11号トの(8))、です。
第六条(法第十二条第一項の経済産業省令で定める事由) 法第十二条第一項第一号の経済産業省令で定める事由は、中小企業者の代表者(代表者であった者を含む。)の死亡又は退任に起因する経営の承継に伴い生じる事由であって、次に掲げるものとする。
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つまり、規則上は、先代経営者から1名への後継者の贈与が行われた後であれば、その先代経営者からの他の後継者への贈与は要件に該当しない、とされています。「認定に係る贈与をした者でないこと」が先代経営者の要件とされているためです。
記事では、租税特別措置法でも同様の解釈がされていますが、措置法通達(70の7の5-2)において、同年中の贈与まで適用範囲を広げた解釈をしている旨が解説されています。
ここで、通達が存在しない経営承継円滑化法ではどうなるのか、という疑問が生じます。 もちろん、経営承継円滑化法においても、税制と同様の整備がされているのですが、その運用の緩和が、中小企業経営円滑化法申請マニュアル(中小企業庁)において示されているのが特徴です。
中小企業経営円滑化法申請マニュアル 17項 第2章 都道府県知事の認定について 第1節 第一種特例贈与認定中小企業者 ・既に特例措置の適用に係る贈与をしていないこと 既に特例の適用を受ける贈与をしている先代経営者は、再度この特例の適用を受ける贈与をすることはできません。ただし、その贈与者から株式等を贈与された後継者が二人または三人である場合には、同年中に限り、それぞれの後継者に対し別日に贈与しても構いません(下図参照)。贈与が別日になった場合、それぞれの贈与に係る認定申請書は一括して提出してください。 http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/181001shoukei_manual_2.pdf |
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ショウ・ウィンドウ 新事業承継税制と複数後継者への贈与
No.3523(平成30年9月17日号)78頁