【事業承継】複数後継者への贈与に関する経営承継円滑化法における規定は?|税務通信 No.3523

No.3523
(平成30年9月17日号)78頁

ショウ・ウィンドウ 新事業承継税制と複数後継者への贈与

Q1

 記事では、先代経営者から複数後継者への贈与は同一年中にすればいいことが分かりましたが、そもそも「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)では、どのように規定されているのでしょうか。事業承継税制の適用は、経営承継円滑化法の要件を満たしているとして、都道府県知事認定を受けることが前提だったと理解しています。


A1

 複数後継者への贈与のタイミングは、経営承継円滑化法においても、租税特別措置法と同じ様な書きぶりとなっています。
 経営承継円滑化法第6条第1項第11号トの(8))、です。

第六条(法第十二条第一項の経済産業省令で定める事由)
 法第十二条第一項第一号の経済産業省令で定める事由は、中小企業者の代表者(代表者であった者を含む。)の死亡又は退任に起因する経営の承継に伴い生じる事由であって、次に掲げるものとする。
    十一 当該中小企業者が次に掲げるいずれにも該当する場合であって、当該中小企業者の代表者(当該代表者に係る贈与者からの贈与の時以後において代表者である者に限る。以下この号において同じ。)が贈与により取得した当該中小企業者の株式等に係る贈与税を納付することが見込まれること。
ト 当該中小企業者の代表者が次に掲げるいずれにも該当する者(その者が二人又は三人以上ある場合には、当該中小企業者が定めた二人又は三人までに限る。以下「第一種特例経営承継受贈者」という。)であること。
(8)当該贈与の時において、当該中小企業者の株式等の贈与者が当該中小企業者の代表者でなく、かつ、当該中小企業者の株式等の贈与者が当該中小企業者の株式等について法第十二条第一項の認定(この号又は第十三号の事由に係るものに限る。)に係る贈与をした者でないこと


 つまり、規則上は、先代経営者から1名への後継者の贈与が行われた後であれば、その先代経営者からの他の後継者への贈与は要件に該当しない、とされています。「認定に係る贈与をした者でないこと」が先代経営者の要件とされているためです。

 記事では、租税特別措置法でも同様の解釈がされていますが、措置法通達(70の7の5-2)において、同年中の贈与まで適用範囲を広げた解釈をしている旨が解説されています。

 ここで、通達が存在しない経営承継円滑化法ではどうなるのか、という疑問が生じます。 もちろん、経営承継円滑化法においても、税制と同様の整備がされているのですが、その運用の緩和が、中小企業経営円滑化法申請マニュアル(中小企業庁)において示されているのが特徴です。

中小企業経営円滑化法申請マニュアル 17項
第2章 都道府県知事の認定について
第1節 第一種特例贈与認定中小企業者
・既に特例措置の適用に係る贈与をしていないこと
既に特例の適用を受ける贈与をしている先代経営者は、再度この特例の適用を受ける贈与をすることはできません。ただし、その贈与者から株式等を贈与された後継者が二人または三人である場合には、同年中に限り、それぞれの後継者に対し別日に贈与しても構いません(下図参照)。贈与が別日になった場合、それぞれの贈与に係る認定申請書は一括して提出してください。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/181001shoukei_manual_2.pdf


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