障害者雇用促進法の改正

img_jitsumu_0003_02.JPG第183回通常国会において障害者雇用促進法の一部法改正が成立しました。改正の内容は大きく分けて2点あり、①障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応と、②法定雇用率の算定基礎の見直しです。①の具体的内容は、(1)障害者に対する差別の禁止、(2)合理的配慮の提供義務、(3)苦情処理・紛争解決援助となっています。施行日は、①が平成28年4月1日、②が平成30年4月1日です。
以下、①について詳しく解説します。

(1)障害者に対する差別の禁止
禁止される差別の具体例は次のとおりです。
[募集・採用の機会における差別の例]
身体障害、知的障害、精神障害、車いすの利用、人工呼吸器の使用などを理由として採用を拒否すること等といった例が想定されています。
[賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用等における差別の例]
障害者であることを理由として、
・賃金を引き下げること、低い賃金を設定すること、昇給をさせないこと
・研修、現場実習をうけさせないこと
・食堂や休憩室の利用を認めないこと
等といった例が想定されています。
ただし、改正法の規定は、不当な差別的取扱いを禁止するものであるため、職業能力等を適正に評価した結果といった合理的な理由による異なる取扱いが禁止されるものではありません。

(2)合理的配慮の提供義務
障害者に対する合理的配慮の提供義務の具体例は次のとおりです。
[募集・採用の機会における配慮]
・問題用紙を点訳・音訳すること
・試験などで拡大読書器を利用できるようにすること
・試験の回答時間を延長すること
・回答方法を工夫すること
等といった例が想定されています。
img_jitsumu_0019_02.jpg[施設の整備、援助を行う者の配置等]
・車いすを利用する方に合わせて、机や作業台の高さを調整すること
・文字だけでなく口頭での説明を行うこと、口頭だけでなくわかりやすい文書・絵図を用いて説明すること、筆談ができるようにすること
・手話通訳者・要約筆記者を配置・派遣すること、雇用主との間で調整する相談員を置くこと
・通勤時のラッシュを避けるため勤務時間を変更すること
等といった例が想定されています。
ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすときは、事業主は提供義務を負わないものとされています。

(3)苦情処理・紛争解決援助制度
事業主は、障害者に対する差別(上記(1))や合理的配慮の提供(上記(2))に係る事項について、障害者である労働者から苦情の申し出を受けたときは、その自主的解決を図るよう努めるものとされています。
また、当該事項に係る紛争は、個別労働紛争解決促進法の特例を設け、都道府県労働局長が必要な助言、指導又は勧告をすることができるものとするとともに、新たに創設する調停制度の対象とするとされています。

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