育児・介護休業法の改正

少子高齢化、労働力不足といった社会情勢を踏まえて、介護離職の防止や女性労働者の活躍の機会増大を目指すべく、育児・介護休業法が改正され、平成29年1月1日から施行されることになりました。

img_jistumu_0058_2.jpg改正点ですが、介護に関しては、①介護休業の分割取得を可能としたこと、②介護休暇を半日単位で取得可能としたこと、③介護休業日数とは別個に、介護のための所定労働時間の短縮措置等を取得可能としたこと、④介護のための所定外労働の免除、⑤有期契約労働者の介護休業の取得要件の緩和、⑥介護休業等の対象家族の範囲の拡大が改正点となっています。

①に関して、現行法では原則1回に限り、93日まで取得可能であったところ、改正後は、対象家族1人につき通算93日まで最大3回の分割取得が可能となりました。また、②に関して、介護休暇は年5日の取得が認められているところ、改正後は、半日(所定労働時間の二分の一)単位の取得が可能となりました。③に関して、所定労働時間の短縮措置等は、現行法では介護休業と通算して93日まで取得可能であったところ、改正後は、介護休業日数とは別に、3年間に2回以上の利用が可能となりました。④に関しては新設された制度です。⑤に関して、93日経過日から6か月を経過する日まで雇用が継続することが見込まれる者であれば介護休業が取得可能となりました。⑥に関しては、同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹および孫も追加されました。 

次に、育児に関しては、①子の看護休暇の半日単位での取得を可能としたこと、②有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和、③育児休業等の対象となる子の範囲の拡大、④事業主による不利益取扱いの禁止が改正点となっています。

①、②は介護休業の改正点で述べたところと同様の改正点です。③に関しては、法律上の親子関係に準じる関係にある者も対象に追加されました。④に関しては、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚による就業環境を害する⾏為を防⽌するため、雇⽤管理上必要な措置を講じることが事業主に義務付けられました。もともと、均等法9条3項や育児介護休業法10条等において、妊娠・出産・育児介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止されていましたが、今般の改正では、これに加え、防止措置義務が課せられることになります。具体的な措置の内容は指針で示されており、たとえば、事業主の方針の明確化およびその周知啓発、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等といったことが、防止措置の具体的内容として定められています。

企業では、上記改正法を踏まえて育児介護に関する規程類を改定する必要があります。なお、育児・介護休業をめぐっては、休業等の期間中における諸手当、賞与、査定の取扱いが問題となることがあります。この問題は、従前からある議論であり、今般の改正で新たに生じた問題というものではありませんが、今後の紛争を予防するためにも、裁判例の動向も踏まえた上で必要に応じて見直しを行うべきでしょう。

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