第142回 中小企業者等がソフトウェアを取得したときの特例税制の活用 ~中小企業投資促進税制の適用を視野に~

今月のキーワード ―2014年10月―
公認会計士 太田達也


■中小企業投資促進税制の上乗せ措置


平成26年度税制改正により、生産性向上設備投資促進税制(措法42条の12の5)が創設され、注目を集めています。

また、同じ税制改正により、中小企業者等が従来からの中小企業投資促進税制(措法42条の6)を適用する場合に、その対象設備が生産性向上設備投資促進税制における生産性向上設備にも該当するときは、中小企業投資促進税制の適用において上乗せ措置(資本金3,000万円以下の法人等は即時償却または取得価額の10%の税額控除の選択適用、資本金が3,000万円を超え1億円以下の法人については即時償却または取得価額の7%の税額控除の選択適用)を適用することができるとされました。

特に、対象設備がソフトウェアの場合で、かつ、生産性向上設備のうちの先端設備(A類型)に該当するときは、生産性向上要件は不要とされ、最新モデル要件のみを満たしていることで工業会の証明書が入手できることになります。


■生産性向上設備投資促進税制の活用は限定的か


しかし、ここで注意しておかなければならない点があります。生産性向上設備に該当するためには、そもそもその設備が「生産等設備」に該当するものである必要があります。すなわち、生産等設備とは、生産活動、販売活動、役務提供活動など法人が収益を稼得するために行う活動の用に直接供される減価償却資産をいいます。したがって、会計ソフト、給与計算ソフト、税務申告ソフトなどは当てはまりません。(逆に、販売管理ソフト、生産管理ソフトなどは当てはまります。)

したがって、中小企業者等が会計ソフト、給与計算ソフト、税務申告ソフトのような管理業務用のソフトを取得しても、中小企業投資促進税制の上乗せ措置は適用できないことになります。


■上乗せなしの中小企業投資促進税制の適用は可能


ただし、中小企業投資促進税制の対象となるソフトウェアは、生産等設備に限定されるわけではありません。対象となるソフトウェアは、業務用に使用されるワープロソフト・表計算ソフト・経理ソフト・給与ソフトの他にも、イラストソフト・画像ソフト・CADソフトなどが該当し、また、単品で70万円以上または一事業年度の合計額で70万円以上のものが適用対象です。

したがって、中小企業者等がソフトウェアを取得した場合は、そのソフトウェアが生産等設備に該当せず、中小企業投資促進税制の上乗せ措置の適用が受けられなくても、上乗せなしの中小企業投資促進税制の適用(資本金3,000万円以下の法人等は取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除の選択適用、資本金が3,000万円を超え1億円以下の法人については取得価額の30%の特別償却の適用)を検討する必要があります。

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