年次有給休暇の法改正対応

いよいよ10月になりました。今年は大型台風の連続上陸や、1日の気温差が10度以上になる日もありますので、会社担当者の方は諸問題の対応に引き続きご注意ください。
さて、働き方改革による労働基準法改正が来年4月から施行されますが、「年次有給休暇(以下「有給休暇」とする)」の実務面でのリーフレットが出されております。今回はそれを踏まえた上での対応方法をご紹介いたします。

法改正内容
img_onepoint_0071_01.jpg2019年4月からすべての企業で「年10日以上、有給休暇が付与される従業員に対して、有給休暇の日数のうち年5日については、会社が時季を指定して取得させることが必要」となります(労働者本人が5日以上有給休暇を取得しているときは時季指定不要、計画的付与日も5日に含む)。注意点ですが、会社が時季を指定する際は労働者本人に「取得時期の意見(希望)」を聞き、それを尊重して決めなければならないという点と、対象労働者の範囲は有給休暇が10日以上付与されるパートタイマーや管理監督者も含むことの2点があげられます。そして、最終的に1年間の有給休暇取得が5日未満の者がいた場合、最高で1人あたり30万円の過料が会社に科される見込みとされている他、「有給休暇管理簿」の作成・保存も義務付けされますので、会社担当者の方は対応が必須です。

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年間の管理の注意点
上の1年以内の考え方ですが、法定の基準日(雇入れ6ヶ月後)に最初の有給休暇を付与、以後、1年毎法定通りに付与されている場合は最初の付与日から1年毎の期間になります。
図1_例)4/1入社

上の図のように労基法の基準通りであれば簡単なのですが、全社的に起算日を合わせるために2年目以降付与日を統一して支給している会社も多々あります。この場合、1年間の管理が二重で発生することになります(ダブルトラック)。このような1回目と2回目で1年以内の期間が二重になるための解決策として、下図のように合計した期間に案分した日を付与することも認められるようになります(日数計算式5÷12×18=7.5日)。
図2_例)4/1入社 初年度は半年後(10/1)付与、翌年から全員毎年4/1に付与(斉一付与)している場合

現状の貴社の規程を確認しつつ、該当する場合は上記の対応策をご検討ください。

時季指定の対応策
img_onepoint_0071_02.jpg改正後は上記の5日を「会社が時季を指定して」という対応が必要になりますが、対応方法として会社と労働者が個別の「合意書」を作成するという方法があります。これは事前に労働者本人が取得予定日を5日間提示(指定)し、会社がその日の取得を認めておくことで、年間5日の取得を達成させるという仕組みです。あらかじめ労働者に5日を選んでもらうのは「労働者の意見を尊重し使用者が取得時季を指定すること」とされているからです。
しかし、ここで問題が生じます。今回の改正では、従業員本人がすでに5日を取得(及び計画的付与で取得)しているような場合「時季指定は不要」であるとされています。つまり、「1年を終わって何らかの形で5日以上有給休暇を取得していればいい」ということで、全員に対して5日の時季指定しなければならないわけではありません。また、上記の合意した日に労働者がすでに有給休暇を使い切っていた場合はどうしたらよいのでしょうか?
解決策の1つとしては、上記合意書の合意内容に「指定日にすでに有給休暇がなかった場合、その日の有給休暇は取得できない」あるいは「取得合意日にすでに基準日から5日以上年次有給休暇を取得し、当該日に有給休暇取得を希望しない場合にあっては合意日であった場合でも取得しなくてもよい(要会社に報告)」等の事前の取り決め(特約)をしておくという方法が考えられます。貴社にとっての5日取得の形を今のうちから考えておくことをお勧めいたします。

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