2018/11/01 9:00
■「税効果会計に係る会計基準」の一部改正
本年2月16日付で、企業会計基準委員会から「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」が公表されました。繰延税金資産と繰延税金負債を一律固定区分に表示する改正と、注記事項の追加に係る改正からなっています。適用時期については、平成30年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用しますが、平成30年3月31日以後最初に終了する連結会計年度および事業年度の年度末に係る連結財務諸表および個別財務諸表から早期適用することができるとされています。
適用初年度においては、表示方法の変更として、前期の比較情報を開示する場合は、改正後の表示方法に組み替えることが求められます。ただし、注記事項の追加については、実務負担に配慮する観点から、前期の財務諸表に改正後の注記を行わないことも認められます。
■表示方法の変更に関する注記
適用初年度に、表示方法の変更に関する注記を行うことになります。有価証券報告書においては、前事業年度の財務諸表を比較情報として開示しますので、以下の注記例のように、前事業年度の財務諸表の組替えに係る記載を含める必要があると考えられます。
L社(平成30年6月期有価証券報告書より)
(表示方法の変更) (「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の早期適用に伴う変更) 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日。以下「税効果会計基準一部改正」という。)を当事業年度より適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しております。 この結果、前事業年度の貸借対照表において、「流動資産」の「繰延税金資産」〇〇百万円は、「投資その他の資産」の「繰延税金資産」〇〇百万円に含めて表示しております。 また、税効果会計関係注記において、税効果会計基準一部改正第4項に定める「税効果会計に係る会計基準」注解(注8)(1)(評価性引当額の合計額を除く。)に記載された内容のうち、前事業年度に係る内容については、税効果会計基準一部改正第7項に定める経過的な取扱いに従って記載しておりません。 |
(編注)金額の箇所は、修正しています。
■会社法の計算書類の取扱い
会社法の計算書類については、当期の計算書類1期分を開示し、前期の計算書類を比較情報として開示しない制度になっています。したがって、上記の有価証券報告書の記載のように、前事業年度についての記載は必要ありません。また、注記事項の追加については、会社計算規則の改正はありませんでしたので、その他の注記(会社計算規則116条)に該当すると判断されない限り、追加事項の注記は行われないことが考えられます。
次のような注記例がご参考になると思われます。
L社(平成30年6月期招集通知より)
(表示方法の変更) (「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の早期適用に伴う変更) 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日。 以下「税効果会計基準一部改正」という。)を当事業年度より適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しております。 |