2015/11/01 14:34
今月のキーワード ―2015年11月―
公認会計士 太田達也
■減資とは
減資という言葉を最近よく耳にします。減資とは、資本金の額を減少することをいいます。会社法上、最低資本金規制がなくなったことから、資本金の額の減少額についても、下限規制がなくなりました。ただし、資本金の額の減少額は、資本金の額の減少の効力発生日における資本金の額を超えてはならないと規定されていますので(会社法447条2項)、資本金の額がマイナスとなるような減資はできません(ゼロまでの範囲での減資は可)。
会社法上は、減資は資本金の額を減少するという計数(数字)の問題でしかないという整理がされていますので、そこで併せて株主に対する払戻しを行うのであれば剰余金の配当として払戻しを行うことになります。また、併せて株式数を減少させるのであれば、株式併合または自己株式の取得により行うことになります。
■欠損てん補に充てる場合
資本金の額の減少または資本準備金の額の減少によって発生したその他資本剰余金を利益剰余金のマイナスに充当することはできます。これを「欠損てん補」といいます。
減資により欠損てん補する場合は、①減資(資本金の額の減少)に係る決議と、②減資によって発生したその他資本剰余金を欠損てん補に充てる決議(会社法上、会社法452条の剰余金の処分という手続になります)、以上の2つの決議を行うことになります。
この2つの決議を同じ株主総会で行うことができますが、その場合は①を先順位の議案とし、②を後順位の議案にしたうえで、②の決議については、①の決議が成立することを条件として決議することになります。
■議案の記載の仕方
減資によって発生したその他資本剰余金を欠損てん補に充てる決議をした株主総会の議事録の記載例(該当部分の抜粋)を以下に示します。
■地方税申告書の添付書類に注意
平成27年度税制改正により、法人住民税均等割の税率区分の基準となる額の算定において、法人税法上の資本金等の額に、平成22年4月1日以後に行われた無償増資(利益剰余金の資本金への組入れ)の額を加算し、平成13年4月1日以後に行われた無償減資による欠損てん補額を減算するものとされました。平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
平成27年4月1日付で公表された「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(以下、「取扱通知」)によれば、無償減資による欠損てん補額の減算が行われる場合には、無償減資の欠損てん補額の内容を証する書類を地方税申告書(第6号様式)に添付することが必要であるとされています(取扱通知48の3)。添付書類の例示が、「平成27年版 地方税申告書記載の手引」(総務省)に次のとおり示されています。通常は、株主総会議事録を添付すると思われます。
なお、「平成27年版 地方税申告書記載の手引」(総務省)によれば、無償増資を行った場合にも、地方税申告書(第6号様式)にその無償増資を行ったことを証する書類の添付が必要であるとされています。こちらについては、適用要件ではありませんが、法人住民税均等割の税率区分の基準となる額が増加した理由を把握するために、各自治体から株主総会議事録等の提出を求められることがあるとされています。