第143回 所得拡大促進税制における「一般被保険者に該当する者」とは ~平均給与等支給額の算定方法に係る留意点~

今月のキーワード ―2014年11月―
公認会計士 太田達也


■平均給与等支給額の算定方法に係る改正


所得拡大促進税制(措法42条の12の4)における平均給与等支給額の算定方法が、平成26年度税制改正により大きく改められました。改正前の平均給与等支給額は、日雇いを除く国内雇用者に対する給与等支給額の平均とされていましたが、改正後の平均給与等支給額は、継続雇用者への給与等支給額の平均額で算出するものとされました。


■継続雇用者とは


継続雇用者とは、適用年度およびその前事業年度において、給与等の支給を受けた国内雇用者をいいます。すなわち、適用年度である当期と前期のいずれにおいても給与等の支給がある国内雇用者は、一律、その支給をした法人の継続雇用者に該当することになります。継続雇用者には、一義的に、適用年度と前事業年度の両方の事業年度においてそれぞれ一度でも給与等の支給がある国内雇用者に該当すれば、改正前の平均給与等支給額の計算でも除外していた日雇いの方や、短期契約の方も含まれます。しかし、これらの者の賃金形態やその支給額などを考慮すると、いわゆる平均給与額を比較する趣旨にそぐわない、または不向きであると考えられたため、一般被保険者に該当する者に支給したものに限ることとされています。

■継続雇用者給与等支給額

平均給与等支給額の計算の基礎(分子の額)となる継続雇用者給与等支給額は、雇用者給与等支給額のうち、継続雇用者に係る金額とされています(措令27条の12の4第11項)。

また、この金額は、一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限るとされていますので、継続雇用者に対して支給された雇用者給与等支給額であっても、一般被保険者に該当する者に対して支給されたもののみをカウントする必要があります。

また、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する「継続雇用制度」の対象である者(継続雇用制度対象者といいます)に対して支給したものを除くとされていますので、例えば定年が65歳未満の会社で、65歳未満で定年退職した者を対象とする継続雇用制度を採用している会社の場合、定年以降の継続雇用制度対象者に支給した金額は除かなければなりません。


■一般被保険者に該当する者とは


雇用保険法では、①65歳に達した日以後に雇用される者、②1週間の所定労働時間が20時間未満の者および③同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者以外のものを被保険者と定義していて、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除く被保険者を一般被保険者と規定しています(雇用保険法60条の2第1項1号)。すなわち、被保険者のうち高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者のいずれでもない者は、一般被保険者ということになります。ということは、一般被保険者に加入する手続をしているかどうかは関係なく、加入手続をしていない場合であっても、上記の一般被保険者に該当する者に係る金額はカウントしなければならない点に留意する必要があります。

被保険者でない者 ・65歳に達した日以後に雇用される者
・1週間の所定労働時間が20時間未満の者
・同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者
被保険者 ①高年齢継続被保険者
②短期雇用特例被保険者
③日雇労働被保険者
④一般被保険者(上記の①から③のいずれにも該当しないものであり、加入手続をしているかどうかは関係ない。)


(参考)継続雇用制度対象者とは
継続雇用制度対象者とは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9 条1項2 号に規定する継続雇用制度の対象である者として財務省令で定める者をいい、それを受けて財務省令で定める者とは、その法人の就業規則において継続雇用制度を導入している旨の記載があり、かつ、次の書類のいずれかにその導入している継続雇用制度に基づき雇用されている者である旨の記載がある場合のその者をいいます(措令27条の12の4第11項、措規20条の9)。

・雇用契約書その他これに類する雇用関係を証する書類
・その法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条に規定する賃金台帳