税制改正までの流れとその対応|税務通信 No.3571

No.3571
(2019年9月9日号) 4頁

令和2年度改正 各府省庁の税制改正要望が明らかに

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 各府省庁から、それぞれの立場で税制改正について要望を出したことが記事となっています。そもそも、税制改正はどのようなスケジュールで進むのでしょうか?また、注意すべき点があれば、教えてください。


A1

 税制改正の一般的なスケジュールは以下のとおりです。

(1)政府税制調査会
 新聞等の紙面でよく目にする政府税制調査会(政府税調)とは、内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議し,内閣総理大臣に意見を述べることを任務とした審議会をいいます。
 この政府税調では、税制のあり方について審議が行われています。その審議内容が、税制改正の基本になることが多いため、政府税調の審議内容は税制改正を理解するために重要な資料となります。
 具体的には、議事録や会議資料が内閣府のホームページにおいて公表されているので、その資料を確認することになります。

(2)各省庁要望
 8月末日までに財務省に各省庁の税制改正要望が集まり、9月から10月にかけて取りまとめられます。この資料から、各省庁がどのような理由で改正を望んでいるのか、また現状の税制でどのような問題点があるのかを理解できます。また、各省庁が作成するこれらの資料は、図表も多く採用され、非常にわかりやすいものになっています。
 財務省が、各省庁の税制改正要望をとりまとめしているので、財務省などのホームページにアップされる資料を確認することになります。

(3)与党税制改正大綱
 10月から12月の与党税制改正大綱発表前までは、各種の新聞や税務情報雑誌等に税制改正の概要が掲載され始めます。そして、政局により時期がずれることもありますが、12月中旬ごろには、最終的な改正案として与党税制改正大綱が公表されます。
 なお、その公表後に発表される閣議決定後の税制改正要綱や財務省要綱については、通常、大幅な内容変更がないので、あまり気にする必要はありません。

(4)各省庁の解説資料
 税制改正大綱発表後には、比較的早いタイミングで、各省庁から税制改正に関する解説資料が公表されます。中でも、経済産業省・中小企業庁のものが、実務家に有用な情報が多い傾向があります。
 税制改正大綱からは読みとれない部分を、この資料で説明している場合もあります。

(5)財務省の法律案公表
 税制改正大綱の内容を受け、1月下旬から2月中旬の間に、財務省のホームページにおいて、税制改正の法案が掲載されます。
 なお、地方税法の法案は、総務省のホームページに掲載されます。

(6)国会による承認と政省令
 税制改正法案は、1月開催の通常国会により審議されることになります。
 衆議院、参議院の審議を経て、3月末に国会により承認され、4月1日に法律が施行されるのが通常のスケジュールになります。
 また、4月1日の法律公布と同時に、改正される政令・省令が公布されることになります。政令については、官報掲載後に財務省が新旧対比表とともに公開してくれますが、省令まではでてきません。
 なお、4月の上旬以後に改正法の新旧条文対比資料が公表されることもありますが、必ずしも全てが公表されるとは限りません。

(7)財務省による税制改正資料の公表
 6月から7月にかけて、財務省より改正税法の解説資料が公表されます。「税制改正の解説」というもので、書籍化されたものは「改正税法のすべて」と呼ばれます。
 改正の趣旨が書かれていることが多く、最重要の資料といえます。また、この資料では、条文からは読めなかった取扱いが登場する場合もあります。

(8)通達改正と改正趣旨の公表
 税制改正を受けて、夏から秋にかけて国税庁による通達改正が行われます。こちらも、取扱いだけではなく、改正趣旨の説明もあることから、税制改正内容の理解のため重要な資料となります。
 ただし、公表時期はかなりばらつきがあることから、国税庁ホームページの新着情報を注意してみておく必要があります。
 なお、地方税法の改正については、総務省による通知が発遣されますが、納税者に公表されないものもありますので、税務情報雑誌の記事などでフォローする必要があります。