知っていると安心なケガや病気にかかる手続き

社員が、健康保険被保険者証の交付を受ける前に治療が必要な場合や仕事中などのケガを健康保険で受診した場合はどうするのか、知っていると安心な手続きについて解説します。

◎被保険者証交付前のケガや病気にかかる手続き

img_onepoint_0012_01.jpg社員を採用したときは、5日以内に、「健康保険被保険者資格取得届」(被扶養者がいる場合は「被扶養者届」も一緒に)を年金事務所に提出します。期限内に提出した場合であっても、本人に被保険者証が交付されるまで2週間前後かかります(保険者により異なります。)ので、入社直後のケガや病気の治療を受けたい場合は、前記の届出と併せて「健康保険被保険者資格証明申請書」を提出して、「健康保険被保険者資格証明書」を交付してもらうとよいでしょう。この証明書には有効期間がありますが、被保険者証と同様に医療機関等で原則3割負担で治療を受けることができます。

資格証明書もない(提示できない)場合は、原則的には医療機関等の窓口で医療費の全額を支払い、後日、7割相当分を返還してもらう手続きが必要になりますが、医療機関等によっては、その月内に被保険者証を提示すれば、3割負担で診察してくれるところもあるようですので、「被保険者資格取得届は提出済」などと事情を説明して被保険者としての保険給付を受けられるよう相談するとよいでしょう。

なお、健康保険では加入前のケガや病気の治療についても、被保険者が治療を受けるために不正に資格を取得したものでないと認められる場合は、必要な給付を行うこととされています。

◎仕事中のケガの治療を健康保険で受診したとき

健康保険の被保険者が仕事中や通勤途中でケガ等をしたにもかかわらず、その治療を健康保険証を使って受診した場合は、労災保険からの給付に変更する必要があります。

具体的にはまず、協会けんぽ等医療保険者からの給付額(保険者が医療機関等に支払った7割相当の診療報酬)を返還後、領収書や請求書を添付して、所轄労働基準監督署に「療養補償給付たる療養の費用請求書」(通勤災害の場合は、「療養給付たる療養の費用請求書」)を提出し、被保険者が医療機関等の窓口で支払った原則3割負担分と併せて治療費の全額を返還してもらいます(労災事故にかかる治療費は無料です)。

img_onepoint_0012_02.jpgこの請求手続きは、医療機関等により取扱いが異なることがありますので(レセプトは月末締めですが、医療機関等により月末を過ぎても健康保険から労災保険に変更してくれるところもあるようです。)、保険者に相談するとよいでしょう。

なお、かかった費用を所轄労働基準監督署に請求する場合は、診療報酬を協会けんぽ等保険者に返還した後になりますが、協会けんぽ等保険者からの給付額が高額で、全額の返還が困難な場合等は、先に所轄労働基準監督署に請求することも可能です。

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