テレワーク勤務時の費用は誰の負担?~「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」より~

 今年は秋がとても短く、いきなり冬がやってきた...そんな気がするほどの目まぐるしい気温の変化です。寒くなると手洗いやうがいも面倒になりがちですが、新型コロナ対策のため、会社担当者の方は引き続き啓蒙をお願いしたいと思います。
 さて、コロナ禍によりテレワーク(在宅勤務)が増加しましたが、急激な変化に労務管理の整備が追い付いていません。今回は厚生労働省で行われている「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」について取り上げていきます。

検討会の目的
 テレワークに関する検討会*1は、新型コロナ禍において有効なテレワークという働き方において、労使が安心して実践していくための課題と環境整備を有識者が議論するために、第1回が令和2年8月17日に開催されました。その後、第2回が10月16日、第3回が11月4日に開催されており、各回の内容がHPに掲載されています。
 *1 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kintou_488802_00001.html

費用負担の課題
 第3回ではテレワークの実施に際しての労務管理上の課題として「費用負担」が取り上げられました。テレワークを自宅で実施するためには、机や椅子、PC等の設備のほか、光熱費やWi-Fiルーターに係る通信費等が発生しますが、これを労使のどちらがどのように負担するかについては法律では明確な定めがなされていないからです。

ガイドラインと現場の実情
 上記の費用負担について現段階では厚生労働省の「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン*2が出されていますが、通信費や情報通信機器に関する費用については、「あらかじめ労使がよく話し合って就業規則に記載することが望ましい」とされ、「特に労働者に情報通信機器、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、当該事項について就業規則に規定しなければならないこととされている(労働基準法第89条第5号)」との記載になっています。つまりは「よく話し合って決める」ということですので、「決まらなかった場合」についてまでは言及されていません。
 *2 https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

 現実には双方の主張がぶつかる事案が発生しており、企業ヒアリングでも、「iPadの追加配布、Wi-Fiルーターの貸与などを行っている。通信費のための手当は支給していない。」「6月から9月まで全社員を対象にコロナ関連の補助手当を支給。」「椅子や机、ネットワーク環境等の働く環境整備の名目で全員一律30,000円を支給した。以降在宅環境整備の費用として月2,500円支給。9月より5,000円に変更している。」など、対応がマチマチであることがうきぼりになりました。令和2年冬を目途に、一定の取りまとめを目指すこととしているようですので、結果が気になるところです。

人事評価
 
次に人事評価についてガイドラインでは、「専らテレワークを行う労働者等、職場に出勤する頻度の低い労働者の業績評価等について、評価者や労働者が懸念を抱くことのないように、評価制度及び賃金制度を明確にすることが望ましい」とされていますが、企業ヒアリングでは「人事評価の影響は、在宅勤務により高くなる・低くなる等はないが、効率の低さは明らかになりやすい。」「人事評価についてはプロセスが見えないので、成果で判断するしかなく、人事部としても評価訓練が求められる。」「在宅勤務における人事評価は、自律的に仕事をするように言っており、在宅でやる以上は成果がきちんと出てこないと当然給料も上がらないし、ボーナスも出せない。」といった意見が出されていました。
 これらの意見を反映するには「テレワークにおける成果が反映される評価制度」「在宅勤務者に対する評価者訓練」等が必要になると思われますので、会社側は制度改定が必要になることも覚悟しておくべきでしょう。

テレワークを上手に機能させるには
 在宅でのテレワークは会社での勤務と異なり「その場で部下の行動を見て判断する」ことができません。見えない以上、上司が直接見ていなくても「担当する職務を誠実にこなし、しっかりとした成果を上げる」ように本人自身が意識して働いてもらうことが必要です。そのためには「ある程度必要な費用は会社が負担する」「テレワークでも頑張りが評価できる仕組みを採り入れる」といった会社側の姿勢が求められてくる時代であると考えています。

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