社会復帰促進等事業

労災保険には、被災労働者の福祉の増進を図ることを目的に、社会復帰促進等事業の一環として、休業(補償)給付、障害(補償)給付等保険給付に、特別支給金として一時金と賞与等を算定の基礎とするボーナス等特別支給金(給付額は賃金を算定対象とするため、ボーナス等を支給した場合でも、保険料が徴収されるだけで給付に反映されないことから、それをカバーする支給金です。)を上乗せして支給する制度を設けています。

○保険給付と社会復帰促進等事業の相違点

img_onepoint_0013_01.jpg①仕事中または通勤途中の交通事故(第三者行為災害)でケガをし、その治療のため就労できない場合は、自動車損害賠償責任保険から休業補償を受けられますので、労災保険から支給される保険給付は調整されます。ただし、休業特別支給金(特別支給金のひとつで、支給額は給付基礎日額の20%相当額)には調整規定がありませんので、所轄労働基準監督署に申請手続きをするとよいでしょう。

たとえば自動車保険から100%の休業補償を受けられれば、被災労働者への生活補償は、労災保険からの休業特別支給金と併せて1日あたり120%になります。

② 特別支給金は労働者が退職してもその権利は消滅しませんが、受給権の保護規定が適用されないため、譲渡、差押え等の対象となることがあります。

③労災保険への加入手続きについて指導等を受けたにもかかわらず手続きを行わない期間中に、または指導等は受けていないが、労災保険の適用事業となったときから1年経過後も手続きを行わず、その期間中に業務災害や通勤災害が発生した場合には、国はその災害に関して被災労働者に支給した保険給付にかかる費用を事業主から徴収しますが、特別支給金はその対象となりません。

④仕事中または通勤途中に被災し、障害の状態になったり死亡したときには、遺族の範囲に応じて厚生年金保険・国民年金からも給付が行われます(年金は減額されず満額が支給されます)。この場合、労災保険からの保険給付額は一定額が減額されますが、特別支給金は減額されません。

その他の事業

img_onepoint_0013_02.jpgこの他被災労働者の遺族や重度障害を受けた被災者などに子どもがいる場合で、学資の支払いが困難な人には学資の支援、在宅での介護が困難な高齢の重度被災者には専門的な施設介護サービスを提供するための労災特別介護施設などの運営(被災労働者等援護事業)、安全衛生確保等事業などが行われていますので、労働基準監督署に相談するとよいでしょう。

なお、10年以上1級の障害(補償)年金または1級の傷病(補償)年金を受けている被災者(たとえば夫)が、その障害の原因となったケガや病気で死亡した場合は、妻に遺族補償年金が支給されますが、私傷病により死亡した場合には労災保険から給付は行われません。そこで、生活困窮者であると認められた場合は、長期家族介護者援護金として100万円を支給し、遺族の生活の激変を緩和し、自立した生活への援助を行っています。時効は被災者が死亡した日の翌日から2年間ですので、支給決定した労働基準監督署にお問い合わせください。

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