高年齢者の雇用状況と今後の展望

img_onepoint0073_01.jpgいよいよ師走となりました。本来はゆっくりと来年の準備でもしたいところではありますが、労務関連の動きが激しくなっていますので、今年は例年にも増してあわただしくなりそうです。
さて、定年後の継続雇用年齢を70歳まで引き上げようという声がささやかれはじめている昨今ですが、厚生労働省から平成30年11月16日に現行の65歳まで労働者を雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、平成30年「高年齢者の雇用状況(6月1日現在)」が公表されましたので、まずは現状を確認しておきましょう。

65歳までの雇用状況
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者法)」では平成25年改正により、企業に①「定年制の廃止」、②「(65歳までの)定年の引上げ」、③「(65歳までの)継続雇用制度」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付けられており、毎年6月1日現在の雇用状況の報告を求めています。今回の集計は雇用状況を報告した従業員31人以上の企業をまとめたものですが、それによりますと、65歳までの雇用確保措置のある企業割合は99.8%(前年比0.1ポイント増加)となっておりました。内訳は①定年の廃止は2.6%、②定年の引上げ(65歳以上含む)は18.1%、③継続雇用制度は79.3%、となっています。
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上記のように現状は約8割の企業は継続雇用制度(定年再雇用)であるということがわかります。

66
歳以上働ける制度のある企業の状況
それでは66歳以上働ける制度のある企業はどのような状況なのでしょうか。
全体の27.6%(定年制の廃止2.6%含む)で66歳以上の定年については2.0%でした(下表参照)。
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同様に70歳以上働ける制度のある企業の調査では25.8%(定年制の廃止2.6%含む)で、70歳以上の定年については1.2%となっています(残りは継続雇用制度等)。

今後の注意点
img_onepoint0073_02.jpg今回の調査結果をみますと、法定の65歳までの雇用確保措置はほぼ確保されているものの、約8割は継続雇用制度であり、定年が65歳以上まで延長されているのは約2割にとどまっています。また、70歳までの雇用制度については3割を切っており、そのうち定年制度は2.0%、定年制の廃止は2.6%、とごく少数にとどまっていることがわかります。
このように現状はまだ継続雇用制度が多数を占めていますが、この制度については60歳定年時に労働条件を変更(賃金低下)して再雇用契約を締結しているケースが多いと思われます。近年、この定年再雇用後の労働条件についての裁判(長澤運輸事件、最高裁平30.6.1判決)で、賃金低下は不当であるとして争われたケースがあり、今後については再雇用時に定年前の仕事内容や賃金額、手当等の差について注意を払う必要が出あります。
また、上記のような現状ではありますが、平成30年10月22日に安倍首相が議長を務めている未来投資会議において、企業の継続雇用年数を現状の65歳から70歳へ引き上げるとの方針が発表されています。企業担当者の方は継続雇用における労働条件と政府の動向の両面に注意が必要になりつつあります(出典 厚生労働省 平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果より)。

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