返品調整引当金とは|税務通信 No.3488

No.3488
(平成29年12月25日号)8頁

税務の動向 収益の認識等の見直しは全法人が対象 中小企業も経過措置終了後は延払基準等の適用不可

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 新たな収益認識会計基準が策定されることを踏まえて、平成30年度税制改正大綱では、返品調整引当金が経過措置を設けた上で廃止されることになりました。この返品調整引当金とは、どのような引当金なのでしょうか。


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 返品調整引当金とは、出版業等の対象事業を営む法人のうち、販売する棚卸資産の大部分について販売価格での買戻し等の特約を締結しているものが、その特約に基づいて当期に販売した商品について翌期以降における買戻しによる損失額を引当金として計上するものです。

1.返品調整引当金が計上できる対象事業
返品調整引当金を計上することができる事業は、次の事業です。

<返品調整引当金を計上することができる事業の範囲>
① 出版業
② 出版に係る取次業
③ 医薬品(医薬部外品を含む)、農薬、化粧品、既製服、蓄音機用レコード、磁気音声再生機用レコード又はデジタル式の音声再生機用レコードの製造業
④ ③に掲げる物品の卸売業


2.特約の要件
 返品調整引当金は、対象事業に係る棚卸資産の大部分(一般的には70~80%以上)について、販売価格で買い戻す等の特約を結んでいなければ対象になりません。この特約とは、具体的には次に掲げる要件を満たすものをいいます。

<特約の要件>
① 販売先からの求めに応じ、その販売した棚卸資産を当初の販売価格で無条件に買い戻すこと
② 棚卸資産の送付を受けた場合に、販売先において、注文によるものかどうかを問わず、送付を受けた棚卸資産を購入すること


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3.返品調整引当金の繰入限度額の計算方法
 次のいずれかの方法により計算した金額を計上することができます。

<繰入限度額の計算方法>
① 売掛金基準による場合
  当期末における対象事業に係る売掛金の合計額×返品率(*1)×売買利益率(*2)

② 売上高基準による場合
  当期末以前2月間の対象事業に係る棚卸資産の総売上高×返品率(*1)×売買利益率(*2)


(*1) 返品率の計算方法
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(*2) 売買利益率の計算方法
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