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No:123525

DCF法によるバリュエーション

DCF法による事業価値の計算方法を解説

非上場株式の評価と譲渡時価 Ⅱ 第三者承継における企業価値評価(2021年4月30日収録)

非上場株式の譲渡等に活用されている企業価値評価基準、不確定な数値を基にした評価額に担保を付けるアーンアウト条項、税務上の問題点を整理

税理士 苅米裕

税理士事務所勤務後、関東信越国税不服審判所(国税審判官)等を経て、現在苅米裕税理士事務所所長及び企業の社外監査役。
税理士会において、東京税理士会芝支部副支部長、東京税理士会理事等を経て、現在、東京税理士会会員相談室相談委員、東京税理士会支部会員研修講師、東京税理士会調査研究部委員、東京税理士会芝支部相談役。

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収録日 2021/04/30 受講時間 160分
受講料 税込価格 ¥ 13,200(税抜価格 ¥ 12,000)
視聴期限3週間
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内容第三者への事業承継、M&Aによる事業提携などで非上場株式を譲渡等するケースが増えてきている。その際に多く使われているDCF法による企業価値評価について、企業価値評価ガイドラインに示されている内容を解説する。
 売る側としては資料を提供するにしても、提供した後買う側から提示されてくる企業価値評価がどのように算定しているのかを読み取らなければ、対等な交渉にならないと考えられる。買う側の立場では売る側から提示された資料の企業価値評価算定の基礎数値が適切かどうかをチェックしなければならない。その読み取る力の基礎をつけるのが目標。

☆第三者への事業承継、M&Aによる事業提携の際に使われているDCF法について、企業価値評価ガイドラインを参考にして解説
☆DCF法における計算要素を理解して企業価値評価の計算結果のあたりをつける、ある程度概算値を出してみようとするのが目的
☆買う側が提示してきた企業価値評価の価額がどのように算定しているのか、売る側において検証する。そのときの知識。読み取る力をつける
☆DCF法は、将来の業績予測値、不確実な数値を基礎に企業価値を評価する。その各数値の変動要素及び事業提携によるリスクの担保と目的完遂のためにアーンアウト条項の活用を検討する
☆買う側任せの企業価値評価数値で交渉するのではなく、売る側も価値評価数値の試算を持って交渉に臨む。その算定指針
☆専門家が評価してきた内容を読みとり、不明瞭な部分に疑問を持って、算定過程を把握する力をつける
☆買う側、売る側とも相手方が算定してきた数値がどのようなプロセスで、どのように算出してきたかを読み取ることができれば、納得感の得られる、また、説得的な価格交渉が可能となる
収録内容・チャプターCapter1(09:31)
〇非上場株式の評価と譲渡価額の基本的思考

Capter2(22:09)
§2 企業価値評価ガイドラインによる評価基準
 1 評価アプローチと総合評価
  ・企業価値評価ガイドラインの全体像
 ◎《参考》事業引継ぎ時の士業専門家の活用費用等の補助

Capter3(15:12)
 2 評価アプローチのメリットとデメリット
 3 評価アプローチの選定と留意例
  ・評価方法に一長一短あり
 4 企業価値の概念

Capter4(32:40)
 5 インカム・アプローチ:フリー・キャッシュ・フロー法
  ・フリー・キャッシュ・フロー法の算式構造(DCF法の計算方法の全体像)。フリー・キャッシュ・フローの計算と割引率の計算の2つが重要
  (1) フリー・キャッシュ・フローの計算(株主・債権者に分配可能な収支差額)
   ・DCF法を採用する場合の第1ステップ、フリー・キャッシュ・フローを計算する
   ・株主から見ると事業活動を通じて生まれるキャッシュ・フローは配当につながる
   ・減価償却はキャッシュアウトしていないので戻す
   ・設備投資額はキャッシュ・フローを計算しているからマイナスする
   ・最後の±運転資本の増減額は売掛取引等と資金繰りとの調整
   ・運転資本の増加、例えば前期に比して売掛金が増加するとキャッシュとしてはマイナス
   ・逆に運転資本の減少、例えば前期に比して買掛金が増加するとキャッシュとしてはプラス
   ・20X1年は実数値、20X2年、20X3年、20X4年は予想値
   ・株主の自由になるお金、配当の期待収益の状況を表現している
   ・事業計画の予測値は3~5年を算定している
   ・DCF法の営業フリー・キャッシュ・フローの計算は、算定した業績予測値+継続価値(ターミナルバリュー)

Capter5(46:50)
  (2) フリー・キャッシュ・フロー法による評価額(DCF法)
   【割引率の算定】
     イ 株主資本コスト
      ・割引率の算定は、株主資本コストを算定し、加重平均資本コストを割引率として採用する
      ・株主資本コストの計算の仕方
      ・株主資本コストはCAPM(キャップエム)という手法を使う
      ・Rf(リスクフリーレート)、β値(株価指数の変化率)、Rp(リスクプレミアムレート)の意味
      ・リスクはファイナンスの世界では「不確実」という意味で捉えられている
      ・β値は東京証券取引所等から公表されているが、専門家に依頼をしていることが多い(データを購入する)
     ロ 加重平均資本コスト
      ・加重平均資本コストが割引率になる。WACC(ワック)と呼ぶ。WACCの算式。
      ・具体例は、目標資本構成として、評価会社が株主資本対有利子負債の比率でみると7対3だという前提
      ・過重平均資本コストの計算の仕方
      ・WACCは一般的に5~6%が標準といわれている(類似会社のβ値から評価対象会社への置き換えの際にデッドエクイティレシオを用いて変換している)
   【DCF法:事業価値を計算する方法】
     ・営業フリーキャッシュ・フローと割引率が算出できたところで、いよいよ事業価値を計算する
     ・算式をExcelで計算するとこうなる。具体例の算式をアレンジして3年目までの予測数値とその後の継続価値を分けて計算した
     ・具体例の算式は3年目と継続価値を分けずに計算している
     ・具体的にβ値を求めて、株主資本コストを算出し、WACCを算定する場合には、さらに株主資本と有利子負債の構成比率をどうするかの選択肢がある
 6 マネジメント・インタビュー-DD:損害賠償条項に加えるか否かの検討-
  ・聞き取りしないとわからないことがある
  ・例えば④従業員との紛争(未払い給与など)は潜在的に存していることが多い。紛争が訴訟に派生していると、注記で開示されていなければ財務諸表等では確認できず、売る側から積極的に提出書類の中に入れてきていないことを想定

Capter6(23:03)
§3 経営承継法における非上場株式等ガイドラインのDCF法算定数値
 1 本ガイドラインの趣旨及び目的
  ・経営承継法における非上場株式等ガイドラインにおけるDCF法の割引率、β値の解説。企業評価ガイドラインよりも詳しく書いてある
  ・β値はさらに加工しなければならない(類似会社のβ値から評価対象会社への置き換えの際にデッドエクイティレシオ=負債/資本を用いて変換している)
 2 評価方式の分類
 3 DCF方式の算定基礎数値
  ・現実の非上場株式の評価ではβ値はここまで計算するのが通例
  ・まずは無借金会社と仮定したβ値に置き換える。それがアンレバードβ値
  ・次に評価対象会社のデッドエクイティレシオ=負債/資本を用いてβ値を変換する。これをリレバードβ値
  ・実際はIbbotson Associates社やプルータス・コンサルティング社からβ値を購入することが多い
 4 収益方式における割引率(WACC)の算出例
  ・無借金会社の状態に持っていくためのアンレバードβ値を算出して、そのアンレバードβ値をもとにリレバードβ値、すなわち評価対象会社のデットエクイティレシオ=負債/資本を用いてβ値を置き換えるという作業の具体例
§4 参考:カネボウ株式買取価格決定申立事件/DCF法を採用
  ・地裁の判決がDCF法に対して裁判官が合理的か否かの判断を細かく示している事例。実務で参考になる

Capter7(17:24)
§5 アーンアウト条項による非上場株式の譲渡
 1 アーンアウト条項と課税上の論点
 2 アーンアウト条項による有価証券の取得価額等(買手法人の会計と税務)
  ・会計基準の個別財務諸表では、計画値と実績値にズレが生じ対価精算する場合に、追加で払うならば取得価額、返してもらったら取得価額の減額で処理。連結上はのれんとして処理をする。
  ・アーンアウト条項による調整金額を売買代金の返還とした事例、裁決事例を紹介
 3 アーンアウト条項による調整金額の個人課税(売手個人の課税方法)
  (1) 譲渡所得以外の調整金額の課税方法
   ・譲渡所得の法令解釈では、年分を分けて同じ譲渡損益が発生することはない
   ・アーンアウト条項による調整金額は、本来譲渡と切り離して別の取引として考えられる
  (2) 譲渡所得の調整金額の課税思考
   ・アーンアウト条項による調整金額は、売った側が個人の場合、所得区分を検討する
   ・調整金額は、雑所得となるケースが第1順位、契約の仕方によっては給与所得になるとも考えられ、譲渡所得になるのは理論的には困難
  (3) 参考:調整金額を譲渡所得の収入金額として認定した事例
備考テキストは、ご購入後にご連絡する視聴ページから、PDF版をダウンロードいただけます。