知っておきたい中小企業向け資金繰り支援~2025 年度版~
【中小企業のための経営情報|マネジメント倶楽部デジタル7月号】

2025年7月14日

 

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このコラムでは、中小企業の経営に役立つヒントや、おさえておきたい今話題の情報などを、中小企業診断士の立場から、わかりやすく解説します。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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新型コロナ禍が収束を迎え、企業の経営課題は、売上減少から人手不足や賃上げ、原材料の高騰等への対応にシフトしてきています。これらの状況を踏まえ、新年度に入り、信用保証協会の保証付き融資などの公的な資金繰り支援も、制度の新設や見直しが行われています。今回は、その最新動向を解説いたします※1

 

●プロパー融資と保証付き融資の組み合わせ

まず注目すべきは2025年3月に新設された「協調支援型特別保証制度」という信用保証協会の保証付き融資と民間金融機関のプロパー融資※2を組み合わせた制度です。信用保証協会の保証付き融資と同時にその金額の1割以上をプロパー融資で受けること等を要件とし、民間金融機関からのプロパー資金調達を支援する点が特徴です。「できるだけ大きな金額で調達を行いたい」「今回、初めてプロパー融資での調達を検討したい」といった企業で活用を検討したい制度です。保証料について、国の補助がある点も見逃せません。

●コロナ禍対応の後継制度

次に紹介するのが、「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」です。2025年3月末まで実施されていた「経営改善サポート保証(感染症対応型)」の後継にあたります。経営サポート会議等※3により作成した経営改善・再生計画に基づき、必要な資金を調達する信用保証協会の保証付き融資です。

資金繰り改善の観点では、融資期間が最長15年と長いのがメリットで、本制度を活用し、複数の借入を長期間で組みなおすことが可能となります。「感染症拡大時に借入が増加し、毎月の返済負担が大きい」等のケースで活用を検討したい制度です。ただし、本制度の利用にあたっては、今後の改善や成長の道筋を示すことが必要です。

 

●省力化や成長支援が追加 資本性劣後ローン

3つ目に紹介するのが「日本政策金融公庫の資本性劣後ローン」です。資本性劣後ローンは、金融機関の審査では資本とみなされるため、財務体質の強化に繋がります。また、最終回に一括返済する仕組みで、融資期間中は元金の返済負担がない点も特徴です。2025年2月まで実施されていた「コロナ資本性劣後ローン」が終了となり、今回、人手不足を背景に、通常の資本性劣後ローンの対象に、省力化投資に取り組む事業者が対象として追加されました。「財務の健全性を維持しながら、省力化や成長に向けた投資を行いたい」という企業は活用を検討したい制度です。

 

●課題の先送りから、早期改善、成長支援へ

新年度における資金繰り支援の制度を見ると、感染症拡大時に見られた、課題先送り型の資金繰り支援から、早期の経営改善や将来の成長を促す支援へシフトしてきています。本コラムでご紹介した制度を上手に活用することで、足元の課題に対して、素早く対応するとともに持続的な成長を実現していきましょう。

制度の活用を具体的に検討する場合、まずは、現在取引のある金融機関に相談してみるのがよいでしょう。

 

 

 

※1 令和7年4月13日現在。申込みの際には最新情報を確認のこと
※2 信用保証協会による保証がなく、民間金融機関が実施する融資
※3 金 融機関等の関係者により、個々の事業者を支援する信用保証協会等を事務局とした支援の枠組み

 

 

※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。


 

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