パートタイム労働者と通常の労働者の賃金差

  パートタイム労働者に対する差別的取扱いは禁止されています(現パートタイム労働法8条(改正後は同法9条))。

 img_jitsumu_0031_01.jpgパートタイム労働者とは、「一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者...の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう」(パートタイム労働法2条)と定義されています。「通常の労働者」とは、通常は正社員を指し、正社員がいなければ、同じ業務に基幹的に従事するフルタイム労働者を指します(通達)。

 

 上記パートタイム労働法8条が禁止している差別的取扱いに関する要件ですが、次の①~③の要件を満たすにもかかわらず、通常の労働者とパートタイム労働者の労働条件が異なる場合には、差別取扱いとして禁止されることになります。

 その要件とは、①職務の内容が通常の労働者と同一であること、②人材活用の仕組みが通常の労働者と同一であること、③無期労働契約を締結していること、となっています。なお、すでに成立した改正法が施行された後は、上記③の要件は削除されることになります。

 img_jitsumu_0031_02.jpg同法に違反すると認定された例としては、N社事件(大分地判平25・12・10)があります。同事件では、正社員で転勤・出向・転籍の例が少なかったこと、パートの中から役職に任命されている例があったことなどから、労働条件の差異(賞与の額、週休日の差異、退職金の有無等)が違法とされています。

 

 上記要件②人材活用の仕組みが通常の労働者と同一であるという点に関しては、たんに規定上、配置転換の条項の有無が異なるといった形式面だけでは、要件に該当しないと判断できるものではありません。実際の運用上、人材活用の仕組みが異なっているかどうかということが問題となります。したがって、就業規則等の規定を整備して、正社員とパートタイム労働者の人材活用の制度を異なるように形式的に設計したとしても、運用上の差異がほとんどなければ、人材活用の仕組みは同一と判断されるおそれがあります。

 

 正社員とパートが同一の業務に従事しているという例は多々見受けられますので、そのような場合には、人材活用の仕組みを規定上および実際の運用上も異なったものとする必要があります。規定上および運用上の差異がなければ、労働条件の違いが違法とされるおそれがあるので、その場合には、規定・運用を是正するか、あるいは労働条件を同一の内容に是正する必要があるでしょう。

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