介護休業給付金

img_onepoint_0027_01.jpg私事で恐縮ですが、先日、父親がバスから降りる際に転倒して顔面を強打するという "事件"がありました。幸い、怪我の程度は顔面のかすり傷と足を捻挫した程度ですみましたが、仮に転倒した際に足を"骨折"していたら、手術やリハビリなどにあたって、長期間にわたり家族による介護が必要になっていたかもしれません。

今月は、そのような、家族の介護のために従業員が介護休業を取得した時に受け取れる給付金について取り上げます。

1 介護休業給付金とは
もしも従業員の家族が病気や怪我で介護が必要になったとき、あなたの会社では介護休業の制度を正しく説明し、そして取得させていますか?休業が数ヶ月にも及ぶ場合、使う制度が介護休業であり、休業期間中の生活保障となるのが雇用保険法の「介護休業給付金(以下、「給付金」とします)」です。

給付金は介護休業取得の対象となる家族(雇用保険の一般被保険者の配偶者、子、父母、配偶者の父母、または同居し扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫)が、負傷・疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり「常時介護」が必要な状態となった時に、介護のための休業に対して支給される給付金です(一般被保険者は介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることが原則の要件)。

2 給付金額と注意点
給付金の金額は、原則として休業開始時賃金日額の40%に休業した日数をかけた額で、支給される期間は、対象となる家族1人につき最長93日間が対象になります。

注意すべきは要介護となった事由について1回(1まとまり)の介護休業しか給付金が支給されない点です。たとえば母親が骨折したので介護休業を取得。休業を終了して従業員が職場復帰した場合、家族の骨折がまだ治っていない状態でも、この骨折についての再度の介護休業は給付金の対象になりません。また、他の家族と分担して1週間おきに取得するとか、月曜と火曜のみ毎週取得するというような飛び石的な介護休業では、最初の1まとまりの休業期間部分しか給付金の対象になりません。法律上、そのような「休業」の取り方は対象としていないからです。会社が独自に同一事由について複数回の取得を許可することは可能ですが、上記のように給付金は最初の期間しか支給されませんので、実務上そういった取得は認めないとしたほうがいいでしょう。

img_onepoint_0027_02.jpgただし、別の介護事由であれば同一家族について通算93日間まで給付金の対象となります。たとえば母親の骨折を理由とした介護で60日間、その後、同じ母親の脳梗塞の介護で33日間、といった介護休業の取得はいずれも給付金の対象となります。
給付金の申請は会社(事業所)管轄のハローワークに申請書一式と添付書類を添えて、介護休業終了日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の月末までに提出するきまりで、一般的には会社が本人に代わって書類作成と提出を行います。

3 今後の動き
少子高齢化の影響により、現役世代が家族の介護のために会社を休業する必要性は今後ますます高まるでしょう。また、厚生労働省は2016年度での法改正、17年度での施行を目指して介護休業制度の見直しをスタートさせました。会社さんにおいては、介護休業(給付金)の制度の確認と、就業規則や書式の整備、そして何より制度に関する案内と職場理解の啓蒙を行っていただきたいと思います。

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