健康保険・厚生年金保険料の新型コロナウイルス感染症による特例改定

 ようやく経済が動き出したと思いきや、早くも東京では再び感染者が増加しています。再度の自粛要請が出ても補償がなければ簡単に応じることはできない経済状況なだけに、各社各人による衛生体制の維持と配慮がより一層求められています。さて、今回は令和2年5月26日に突如として発表された「健康保険・厚生年金保険料の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)による特例改定」について取り上げます。新型コロナ休業によって給与が低下した会社の皆さんには必見の内容です。

新型コロナ特例改定とは
 給与が低下したことによる随時改定(月変)は、固定的賃金が変動し標準報酬等級が2等級以上変動した後4ヶ月目に変更となります。ところが、今回の特例は新型コロナによる休業で令和2年4月から7月までの間に、現行の標準報酬月額より2等級以上低下している方で、本人が同意している方については、低下があった月として事業主が届け出た月の翌月から、標準報酬等級の変動が認められます。

list.png

新型コロナ特例の為の対応手続
 特例改定を受けるためには、下記の書類の準備と届出が必要です。
  A 月額変更届(特例改定用)
  B 申立書(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の改定に係る申立書)
  C 同意書(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の改定に係る同意書)
 Aの月額変更届出用紙とBの申立書を添付して(注1)、管轄の年金事務所に届出します。

(注1)Cの同意書は各人と締結し会社に2年間保管。書式と記載例は下記サイトよりダウンロードができます。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.html

特例改定のポイント
 通常の随時改定(月変)と異なり、固定的賃金の変動がなくても新型コロナの影響による休業により4月から7月の給与が2等級以上減額していれば特例の対象となります。また、法人の役員等についても法人に使用される者として対象になります。但し、この特例改定は同一人については1回しかできませんので、改定月など間違わないようにしてください。

注意点
 この特例改定が7月、8月、に行われる場合は今年の定時決定(算定)の対象にはなりません。そのため、休業から回復した月(報酬の支払いが17日以上となった月)から継続した3ヶ月間の平均報酬が2等級以上、上昇した場合は固定的賃金の変動の有無に関係なく随時改定(月変)の届出を行う必要があります。また、この特例改定の提出については事業所管轄の年金事務所(注2)に窓口提出または郵送提出となり、事務センターや電子申請では取り扱われませんのでくれぐれもご注意ください。
(注2)健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合にも同様に特例改定の届出が必要です。

 なお、特例改定の届出は令和3年1月末日まで受付期間となっていますので、今年の定時決定(算定)提出後でも特例改定の提出は可能です。遡及による改定により社会保険料が安くなりますので、この場合は後から従業員ご本人に差額を返還してください。
 上記の他にも「標準報酬月額の特例改定に係るQ&A」が公表されていますので、こちらもご一読ください。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.files/QA.pdf

まとめ
 新型コロナによる影響がまだ収まらない中での社会保険の定時決定、そして今回の特例改定にまで対応するのは会社の事務担当者にとって本当に大変だと思います。この特例改定の届出は任意ではありますが、届出することにより会社負担はもとより、休業で収入額が減少した従業員の方のためにも、ぜひとも頑張って取り組んでいただきたいと思います。

  • PRESSLINKS230921

  • 通信DB インボイス制度関連記事特集

  • 官公庁公表資料リンク集

  • 税務通信テキスト講座

  • 図解でわかる!インボイス制度(11/30まで掲載)

  • 税務通信電子版(アプリ)

  • 経営財務電子版(アプリ)

  • まんが

  • ついった

  • メールマガジン