傷病手当金と出産手当金の計算方法変更

img_onepoint_0041_01.jpg少しずつ春の足音が聞こえてくる季節となりました。春には人との出会いや別れが数多くありますが、事務担当者にとってはいろいろな法改正に直面する季節でもあります。今回は傷病手当金と出産手当金という金銭に直結した法改正ですので、改正内容をしっかりと把握してください。

傷病手当金と出産手当金

従業員の方が病気や怪我で会社を休んだ場合、一般的にはその日の給与が不支給(または減額)となり収入が減少してしまいます。その際の生活補償という意味合いで、健康保険には被保険者に対して『傷病手当金』という制度があります。この制度は、業務外の事由(仕事や通勤以外)で病気や怪我のために労務不能となり、連続してお休みをした4日目以降、休業期間中に一定額が支給されます。

一方、『出産手当金』は、健康保険の被保険者が出産のため会社をお休みした産前産後の期間(原則、産前42日産後56日)、給与が不支給(または減額)となった際に一定額が支給されます。

計算方法の変更

上記の『傷病手当金』と『出産手当金』の支給金額の計算方法が、平成28年4月1日より変更となります。
(平成28年3月31日までの1日あたりの額)
 (休んだ日の標準報酬月額)÷30日×3分の2 

(平成28年4月1日からの1日あたりの額)
 (支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額)÷30日×3分の2

上記を簡単に言い換えると、今までは支給対象となった日時点の標準報酬月額が支給額の基礎となっていたものが、今後は支給開始となった日の直近1年間の標準報酬月額の平均が基礎になるということです。

img_onepoint_0041_02.jpg計算変更による影響

今までは支給開始日の標準報酬月額で計算していましたので非常に単純かつ明快でした。ところが今後は直近1年間の平均ですので、金額計算が複雑になると同時に、給与額(標準報酬月額)に変更があった人にはメリットとデメリットが発生します。例えば体調不良等で休み始めた日の標準報酬月額が以前より低下していた人にとってはメリットとなりますが、逆に昇給等で標準報酬月額が上がっていた人にとってはデメリットとなります。

対象月が12ヶ月ある場合とない場合

支給開始日以前に健康保険の被保険者期間が12ヶ月ある場合とない場合では扱いが異なります。

(12ヶ月ある場合)

img_onepoint_0041_03.gif

(12ヶ月ない場合)
「支給開始日以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額」と28万円(全被保険者の平均月額*)を比較していずれか少ない方の額を使用した額。(*平均月額は1年毎見直しあり)

注意点
 今回の改正では細かい注意点があります。たとえばこれまで傷病手当金を受給していた方でも平成28年4月支給分からは新しい計算方法での支給額に変更になるとか、中途入社で今の会社に入社して12ヶ月経過していない場合でも、離職していた期間が原則1ヶ月以内であれば前の会社での標準報酬月額が通算されて計算されるなどです。対象従業員から質問を受けた場合には気を付けてください。

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