働き方改革実行計画が公表されました

遅れていた桜の開花も進み、今日までに多くの地域で開花宣言が出されました。4月からの新年度に採用された社員の方も早いところでは職場に配属されていることと思いますが、桜の花のように会社の業務でも見事な花が咲かせられるよう、会社担当者の方は引き続きフォローしてあげてください。さて今回は最近よく耳にする働き方改革実現会議の重要なテーマであった「同一労働同一賃金」について、この考えに至った経緯について触れてみたいと思います。

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働き方改革実現会議

我が国は少子高齢化が進み生産年齢人口は継続した減少傾向にあります。また、労働生産性に関しても諸外国と比較して低い順位となっており(注)、経済回復の足かせとなっています。そのような背景の折、昨年8月3日に発足した第3次安倍再改造内閣において日本経済再生に向けて「働き方改革担当相」が新設され、昨年9月から今年の3月まで10回にわたり「働き方改革実現会議」が開催されました。安倍首相は、この働き方改革を日本経済再生の「最大のチャレンジ」と位置づけたのです。


  (注)2014年マンアワーベースの労働生産性水準の国際比較(厚生労働省 平成27年版 労働経済の分析)

1位 ノルウェー 2位 米国 3位 ベルギー 4位 デンマーク 5位 フランス 6位 ドイツ
7位 スイス 8位 スウェーデン 9位 フィンランド 10位 スペイン 11位 イタリア 12位 カナダ
13位 英国 14位 OECD平均 15位 日本 16位 ギリシャ 17位 ポルトガル 18位 韓国


なぜ同一労働同一賃金か

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上の働き方改革実現会議において、労働生産性を阻む大きな要因の一つとして「正規労働者」と「非正規労働者」の不合理な処遇差に問題があるとされました。今の非正規労働者に対する処遇は、頑張ろうという意欲をなくす要因となっているので、正当な評価をすることによって非正規労働者に納得感を与え、それによってヤル気が起きて労働生産性が向上していくという考えから、同一労働同一賃金の実現という方向に至ったのです。

同一労働同一賃金のガイドライン

正規労働者と非正規労働者には不合理な処遇差があると書きましたが、それを解消するためには「何が不合理なのか」ということを具体的に定めることが重要であると会議の中で議論されました。そこで、平成28年12月に同一労働同一賃金に向けたガイドライン(案)が策定され、中小企業の方もわかりやすいように、典型的な事例として、問題となる例と問題とならない例が記載されました。

今後は「ガイドライン案に記載されていない待遇を含め、不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えるよう、その根拠となる法律を整備する(平成29年3月28日「働き方改革実行計画」)」とされています。
(図:同一労働同一賃金のガイドライン(案)の構造)

onepoint_20170410-2.png(働き方改革実行計画より抜粋)


今後の流れ

今後の流れとしては、このガイドライン(案)に沿って会社が正規労働者と非正規労働者の不合理な差を無くすような制度が求められていくと思われます。具体的にはパートタイム労働法、労働者派遣法、労働契約法、の改正です。そして働き方改革実現会議では今回の同一労働同一賃金の他、「罰則付き時間外労働の上限規制」や「テレワーク等柔軟な働き方の環境整備」「病気の治療と仕事の両立」など、さまざまな実行計画が立てられていますので、会社担当者の方は頭が混乱しないよう、一つ一つ整理しながら内容理解に努めていただきたいと思います。

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