働き方改革関連法案成立~施行時期と内容を確認

今年の夏は暑いですね。40度を超える地点も出ているぐらいですので、会社担当者の方は引き続き職場の温度管理や外出時の水分・塩分補給等に気を付けるようご指導いただきたいと思います。さて以前「働き方改革」に関する法律案についてとりあげましたが、ついに平成30年6月29日に国会で可決・成立致しました。施行までには時間がありますが、大きな影響が出そうですので大枠のポイントのみ確認しておきましょう。

労働時間法制の見直し
img_onepoint_0069_01.jpg労働時間法制については2019年4月1日が施行予定となっていますが、中小企業においては一部について時期が遅れての施行となります(以下、文中参照)。改正内容については以下となります。






【①時間外労働(残業)の上限規制】
原則の1ヶ月45時間1年360時間を上限に、臨時的な特別時の特別条項を加えて年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均(特別条項発動月2~6ヶ月の各平均)が80時間以内(休日労働含む)に制限されます(自動車運転の業務、建設事業、医師等については5年間の猶予あり。中小企業については2020年4月1日施行予定)。

【②勤務間インターバル制度】前日の終業時刻(時間外労働をした場合は時間外労働を終えた時刻)と翌日の始業時刻との間に一定時間を空ける勤務間インターバル制度が努力義務として導入促進されます。インターバルの時間として厚労省は目標値として11時間を掲げています。
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【③年次有給休暇】
年間10日以上付与される労働者に毎年5日「労働者の希望を踏まえて時季を指定して取得させる」ことが会社に義務付けされます。
【④中小企業における月60時間超の時間外割増の猶予措置の廃止】2023年4月1日に廃止され、本来の割増賃金率50%以上になります。
【⑤労働時間の把握】裁量労働制の適用者や管理監督者も含めすべての労働者について、労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう会社に義務付けされます
【⑥フレックスタイム制の拡充】労働時間の清算期間が1ヶ月から3ヶ月に変更となります。
【⑦高度プロフェッショナル制度】年収が1,075万円以上で、高度専門職(金融商品の開発・ディーリング業務、アナリスト、コンサルタント等)の労働者については、労使委員会の決議による新たな規制の枠組みにより、時間外、深夜割増賃金等の規定が適用除外となります(健康確保措置として年間104日以上、かつ、4週4日以上の休日確保等の実施の義務付けや「職務記述書」等により制度に同意している労働者のみ等の条件あり)。
【⑧産業医の強化等】会社から長時間労働や労働者の業務の状況などを産業医に提供する義務と、産業医からの勧告を尊重することが義務付けされます。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
img_onepoint_0069_02.jpg待遇確保は2020年4月1日施行(中小企業における「パートタイム・有期雇用労働法(注)」の施行については2021年4月1日)です。改正内容については以下となります。
(注)...パートタイム労働法は有期雇用労働者も対象に含まれ、「パートタイム・有期雇用労働法」に変更となる予定です。



【①
不合理な待遇格差をなくすための規定の整備】
・パートタイム労働者・有期雇用労働者について、正規雇用労働者との「均衡待遇規定の明確化」と「均等待遇規定」の明記、プラス「ガイドラインの策定等」により規定の解釈を明確化。
・派遣労働者については①派遣先労働者との均等・均衡待遇、または②一定要件を満たす労使協定による待遇、のいずれかの確保が義務付けられます。
【② 労働者に対する、待遇に関する説明義務を強化】
・有期雇用労働者に対し、待遇内容及び待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務を創設。
・パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者、(から求められた場合、)正社員との待遇差の内容・理由等を説明する義務を創設。
・説明を求めた場合の不利益取扱い禁止を創設。
【③ 行政による事業主への助言・指導や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規定整備】
・有期雇用労働者、派遣労働者について、行政による裁判外紛争解決手続(行政ADR)の根拠規定を整備。
今後、厚生労働省令の改正や各種ガイドラインが出される見込みです。慌てないように今から現状調査を実施の上、法改正に抵触する部分の洗い出しをしておきましょう。

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