内容も書式も変わる!雇用調整助成金の特例措置変更内容

 GWが明けましたね。今年も新型コロナの影響でGWの高揚感など感じなかった方が大多数と思います。従来までもGW明けは心身の不調を訴える5月病の時期でしたが、今年はこれに新型コロナの影響も懸念されますので、会社担当者の方は従業員の変化にご注意いただきたいと思います。
 さて、今回は新型コロナの影響による「まん延防止等重点措置」「緊急事態宣言」を受け、雇用調整助成金の内容がまたもや変更となりましたので、その内容について取り上げます。

形を変えての特例措置の期間延長
 雇用調整助成金は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、令和3年4月30日までを期限として「特例措置」を設けてきました。しかし、我が国では新型コロナによる影響によって「まん延防止等重点措置」や三度の「緊急事態宣言」など経済に与える影響が依然として大きいため、一部内容を変更して特例措置が令和3年6月30日まで延長されることになりました。

変更を含めた特例措置の内容一覧表
 変更内容についての一覧は以下の内容になります。

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*1( )内は解雇等なき場合 *2 業況特例 *3 地域にかかる特例
【期間A】は令和2年1月24日から判定基礎期間の末日までの「解雇等の有無」及び「各月末の労働者平均の4/5以上」の要件により適用する助成率を判断。
【期間B】は令和3年1月8日から判定基礎期間の末日までの解雇等の有無により適用する助成率を判断。

変更点1【上限額の減少】
 5月以降の延長期間については後段の「業況特例」及び「地域に係る特例」に該当しない場合、助成率が減少し1人1日上限額15,000円から13,500円に減少します。ただし、提出する判定基礎期間に令和3年4月30日まで1日でも含んでいる場合は、上限額15,000円と助成率の最大(10/10)が適用されます。

変更点2【業況特例】
 業況特例とは特に業務の状況が厳しい事業主に適用されるもので、以下のようになります。
<対象事業主>
下記のAとBそれぞれの1ヶ月平均値の生産指標(売上高等)を比較し、Aが30%以上減少している事業主
A:休業の初日が属する月から遡って3ヶ月間の生産指標
B:Aの3ヶ月間の生産指標に対して、前年同期または前々年同期の生産指標
(雇用保険適用事業所設置後であって、労働者を雇用している場合に限る)

例:令和3年5月から休業を実施した場合
名称未設定-2.jpg

<対象となる休業等>
・令和3年1月8日から6月末までの休業等(短時間休業を含む)
・中小企業は5月1日から6月末まで(4月末までは本特例を受けずに同様の助成が受けられます。)

変更点3【地域に係る特例】
 地域に係る特例とは、対象となる地域で以下の条件を満たす飲食店やイベント等を開催する事業主等が対象になります。
<対象事業主の条件>
① まん延防止等重点措置の対象区域において都道府県知事による要請等を受けて、
② まん延防止等重点措置を実施すべき期間を通じ、
③ 要請等の対象となる施設(要請等対象施設)の全てにおいて、
④ 営業時間の変更、収容率・人数上限の制限、飲食物提供又はカラオケ設備利用の自粛に協力している、こと

<対象となる休業等>
・要請等対象施設における以下の期間を含む判定基礎期間の休業等(短期間休業を含む)

<対象となる区域及び期間>
まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について(重点区域一覧)
厚生労働省ホームページに掲載があります。

注意点
 上記の変更により、申請する書式が変更になります。すでに一部対応済みですが、判定基礎期間の初日が令和3年5月1日以降となる書式は令和3年5月中旬頃に厚生労働省のHPにアップされる予定です。

<雇用調整助成金ホームページ(厚生労働省)>
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
 不明な点については以下のコールセンターにお問い合わせください。
<雇用調整助成金、産業雇用安定助成金、学校等休業助成金・支援金コールセンター>
0120-60-3999 (受付時間 9:00~21:00 土日・祝日含む)

まとめ
 今回は非常事態ということで特例期間がひとまず延長されましたが、原則的な措置として支給上限は減額されています。今後は未定ではありますが、これまでの雇用調整助成金の大盤振る舞いの時代ではなくなりつつありますので、会社担当者の方は厚生労働省のホームページ等をこまめにチェックされると良いでしょう。

小野先生.JPG
特定社会保険労務士
小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。当コラムは2015年1月より担当。
ホームページ 社会保険労務士法人ソリューション http://www.solution.or.jp/

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