労働契約法の改正(2)

img_jitsumu_0005_01.jpg平成25年4月1日から、有期労働契約の無期転換に関する改正法が施行されます。
通算契約期間が5年を超えている場合に無期契約への転換権を行使でき、転換するのはその次の契約からということになります。したがって、契約期間1年の有期労働契約の場合、6年目に転換権を行使することができ、7年目以降に転換することになります。
このように、改正法の施行後、無期転換が生じるまでは相当の期間があるため、この間、規定類を整備し、不測の事態が生じないよう備えることになります。

まず注意すべき点は転換後にどの就業規則が適用されるかということです。このことは「労働契約法の改正(1)」で説明しました。正社員と非正社員の就業規則が、適用対象者を期間の定めの有無で区別している場合、無期転換によって正社員用の就業規則が適用されることになるため、そのような事態を想定していないのであれば、無期転換後も非正社員用の就業規則が適用される旨を規定上明記することになります。
次に注意すべき点は、定年の定めの有無です。規定を整備し、転換後も非正社員用の就業規則を適用すると明記した場合、そのままの規定内容では、定年の定めが存在しないというケースも考えられます。無期契約に転換し、かつ定年が存在しなければ、終身雇用になるため、正社員以上の雇用期間を保障するという事態が生じかねません。それでは正社員との均衡が取れないため、無期転換した場合の退職事由として、「60歳になる誕生日の属する月の末日の到来」等といった定めを設ける必要があります。
img_jitsumu_0005_02.JPGまた、無期転換だけではなく、これまで正社員登用制度を設けていた会社であれば、無期転換するか、それとも正社員登用試験を受験し正社員を目指すかを選択させるような制度設計にすることも考えられます。
たとえば、正社員登用試験の受験資格を「通算契約期間が5年を超え8年以内の有期労働契約者」と定めれば、転換するか、登用試験を受験するかを選択させることができます。転換した後は、「有期労働契約者」という要件を満たさないため、登用試験の受験資格は失うことになります。受験資格も含め,正社員登用制度をどのような内容にするかは企業の裁量に委ねられています。

このように、無期労働契約へ転換した労働者という新たな類型が生じることに備え、人事処遇を整備し、労務管理で混乱を来さないようにしておく必要があるでしょう

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