労災保険の特別加入制度-中小事業主等の場合-

img_onepoint_0011_01.jpg平成25年9月1日以降、中小事業主等(常時300人(金融業、保険業、不動産業または小売業については50人、卸売業またはサービス業については100人)以下の労働者を使用する事業主とその事業に従事する労働者以外の人)が新たに労災保険に特別加入する際の保険料算定基礎額の上限額(現行は2万円)に、2万2千円、2万4千円および2万5千円が追加されました。ただし、すでに特別加入している中小事業主等については、今年度内の変更はできません。

○保険料算定基礎額
給付基礎日額を365倍したものをいい、特別加入者の1年間の報酬額に相当します。中小事業主等には賃金という概念がありませんので、特例として、あらかじめ定められた3,500円、4,000円から10,000円までは1,000円刻み、12,000円から24,000円までは2,000円刻みそして上限額の25,000円の範囲内で本人の報酬等に見合った金額を申請し、都道府県労働基準局長が承認した額となります。したがって、特別加入者の役員報酬等と保険料算定基礎額とは異なる場合が一般的です。

○特別加入制度
労災保険は、事業主に使用され、その労働の対償として賃金を支払われている労働者が、仕事中(業務上)や通勤途上で災害を被ったときの補償を目的に創設された制度ですので、労働者に該当しない事業主、自営業者、家族従事者などは、労災保険の対象になりません。しかし、勤務実態や災害の発生状況などから労働者とほとんど変わらない形態で働いている事業主等もいることから、中小事業主等を対象に労災保険の制度自体の目的を損なわない範囲で労災保険への任意加入を認めています。これが特別加入制度で、申請手続き等は、労働保険事務組合が行います。
ちなみに、この他、中小事業主等と同様に適用が除外されている海外派遣者、一人親方等も特別加入できます。

○特別加入の要件
中小事業主等が労災保険に特別加入するには、以下のすべてに該当していることが要件です。
①労災保険の保険関係が成立していること。
②労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していること。
③中小事業主等が行う事業に従事する労働者以外の全員を包括して特別加入すること。
ただし、病気療養中であったり高齢のため就業の実態がない中小事業主等については、それらを除いた役員等のみを特別加入させることができます。なお、粉じん作業等一定の業務に一定期間従事していた人には、健康診断が義務づけられています。

img_onepoint_0011_02.jpg○補償の範囲
認定基準内において業務に従事している間の事故については、労働者と殆ど同じ範囲内(特別支給一時金(休業特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、傷病特別支給金)を含む。)で必要な保険給付が行われます。ただし、事業主等にはボーナス等賞与はありませんので、これを算定の基礎とするいわゆる「ボーナス特別支給金」は支給されません。

○給付制限は
事業主が故意または重大な過失により事故を発生させたときなどは、保険給付の全部または一部が支給されないことがあります。

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