同一労働同一賃金の施行にあたって ~処遇差の合理性を明確に!~

 img_jitsumu.0097.jpgいわゆる同一労働同一賃金に関する改正法が今年の4月1日から施行されます(ただし、中小企業に関しては来年の4月1日から施行されます。)。
 これに合わせて、各企業は人事制度の改定作業を進めています。このこと自体は望ましい対応と言えますが、そもそも、今回の法改正によって同一労働同一賃金の規制が新たに導入されるわけではありません。

 今回の法改正は、これまで同一労働同一賃金に関する法規制が、パートタイム労働者についてはパートタイム労働法に、有期雇用労働者については労働契約法にそれぞれ規定されていたものを、パートタイム・有期雇用労働法(旧パートタイム労働法)という一つの法律にまとめたものであり、全く新たに同一労働同一賃金の法規制を導入したというものではありません。事実、同一労働同一賃金に関する判例・裁判例はすでに法改正以前から多数出ており、いずれも企業の人事制度の設計に大きな影響を与えています。

 したがって、今年の4月1日に向けて人事制度の改定が必要になるという認識は、前提となる法改正に対する認識が不足しているものと考えられます。このような認識不足は、企業担当者の多くに見受けられているのが現状です。本来的には、対応としては後手に回っているのです。

 ただし、4月1日の改正法から新たに導入される法規制ももちろん存在します。その中でも重要度が高いと考えられるのは、改正パート・有期雇用労働法14条2項であり、同条は、使用者に、パート・有期協労働者から求めがあった場合には、通常の労働者との間での待遇の相違の内容およびその理由等について説明しなければならないものと定めています。

 おそらく労働者側としては、訴訟等の前段階の準備行為や材料集めのために、同条項に基づく説明を求めてくることが考えられます。その際に使用者が説明した内容については、一貫性という点からも後に紛争になったときに変更することは困難でしょう。

 判例や裁判例を前提にしても、いまだに明確な答えが示されていない待遇の相違も存在しますが、それらについても使用者は待遇の相違の合理性について説明する義務を負っていることになるため、使用者としては、後に紛争化するケースも想定した上で、説明に備えた万全の準備が必要となるでしょう。そのためにも、4月1日の改正法施行に合わせて、今一度各処遇差の合理性を支える事実関係について詳細に整理する作業は重要になるものと考えられます。

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