求人の募集や申込みの制度が変更へ

ようやく秋がやってきたと思っていたら、もうすぐ師走!年末・年始に向けた準備もしなければならない時期となりました。1年は本当に早い...ですが過ぎ去る時間を止めることはできませんので、会社担当者の方は先回りで行動するように心がけましょう。今回は来年(平成30年)1月1日から施行される「求人の募集や申込み制度の変更」についてです。

ハローワークへの求人等が改正

img_onepoint_0061_01.jpg今年(平成29年)の3月31日に職業安定法の一部が改正となっていますが、その中で労働者の募集やハローワークへの求人申込みの制度内容が来年1月1日から施行となります。おおまかには、求人する際に気を付けなければならないことが多数加わっています。今までのような「募集内容と採用する内容は別」といったわけにはいかないですので、以下、確認しながら読み進めてください。



労働条件変更の明示

ハローワークや自社HP等から求人する際には、労働条件の明示が定められています。しかし、採用の面接等の過程で最初に募集していた労働条件とは異なる条件となっていることも多かったようです。それが今回、「当初明示した労働条件が変更された場合は、変更内容について明示しなければならない」という事項が職業安定法改正により新設されました。よって、今後は「募集時には(実際の採用条件とは異なるが)とりあえず好条件で掲載して応募者の目を惹いてしまえば良い」といった考えは改める必要があります(職業安定法に基づく指針で「明示する労働条件は、虚偽又は誇大な内容としてはならない」とされています)。

変更事項の明示方法

img_onepoint_0061_02.jpg上記のように、当初明示した労働条件が変更された場合には、1「当初の明示と変更された後の内容が対照できる書面を交付する方法」が望ましいが、2「労働条件通知書等において、変更された事項に下線や着色、または脚注をつける方法」でも可能、とされています。




明示すべき事項の追加

求人の際に明示すべき事項に以下の事項が追加されました。

1)試用期間の有無及び期間、試用期間中の労働条件(例)試用期間中は月額○○万円

2)募集する者の氏名又は名称(例)○○株式会社

3)裁量労働制の場合は記載は必要(例)「企画業務型裁量労働制により〇時間働いたものとみなす」

4)固定残業制の場合は基本給と残業代の明確な区別

例)1基本給200,000円(2の手当を除く)、2固定残業手当(時間外労働の有無に関わらず、月〇〇時間分の時間外手当として〇万円を支給)3上記2における○○時間を超えて時間外労働を行った場合の割増賃金は追加で支給する

5)派遣労働者として雇用する場合の明示(例)雇用形態...派遣労働者


職業紹介事業者への義務付け

職業紹介事業者には以下のような情報提供が義務付けられ、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」http://www.jinzai-sougou.go.jp/ で確認することができるようになります。

①(当該事業者の紹介によって)就職した者の数(年間)、②①のうち6ヶ月以内に離職した者の数、③手数料、④返戻金(短期離職における手数料返金)制度の有無、⑤得意とする分野等


変更の影響と会社担当者の配慮

今回の改正に派手さはないかもしれませんが、固定残業の場合の明示方法や、裁量労働制におけるみなし時間の明示など、今の労働問題の核心をつく改正内容だと感じられます。また、労働条件が変更となった場合の明示方法として「着色」等とありますが、マーカーなどで該当部分を明確にすれば、労働条件が引き下げられた場合はマイナスの印象がかなり強くなるはずですので、会社担当者の方は指針に従い、募集時に誇大な内容とならないようにする配慮が必要です。

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